2023年01月21日

柳川

 アジアの町で独自の感性で作品を作る中国のチャン・リュル監督の新作。タイトル通り福岡の柳川が舞台で、旅情あふれる感じで行ったことのないのに訪れたくなりました。

 作品情報 2021年中国映画 監督:チャン・リュル 出演:チャン・ルーイー、シン・バイチン、ニー・ニー 上映時間:112分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館  2023年劇場鑑賞16本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【ストーリー】
 北京に住む中年男のドン(チャン・ルーイ―)は末期がんと診断され、そのことをかくして久々に会った兄のチュン(シン・バイチン)に日本の柳川に旅行へ行こうと誘う。柳川は北京語でリウ・チュアンと読み、2人が若いころにともに好きだった女性チュアン(ニー・ニー)と同じ読みだった。そのことが縁で、チュアンは現在、柳川のクラブで歌手をしているという。

 柳川の民宿についた2人は、宿の若主人・中山(池松壮亮)や彼のいきつけの居酒屋女将(中野良子)の後押しもあり、20年ぶりにチュアンに会いにいくのだが…。

 【感想】
 非常に独特な撮り方で、明度の低い照明とBGMをいっさい排し登場人物が感情も控えめにぼそぼそしゃべります。柳川に来てからはあまりふれられないけれど、ドンの死が近づく不穏さが、言葉を使わずに伝わってきます。何より、普通の映画ではこれから盛り上がるという直前に画面が暗転し、何事もなかったように次のシーンにいくことや、前後と脈絡のないシーンが入ることが特徴。でもストーリーを追うよりも、心にしみいる感じでy草加。

 中国語、日本語のほか、チュアンと中山がしゃべるときには英語も加わり、のどかな田舎町でも国際色豊かに感じられ、掘割を小舟で行き来する「東洋のベニスだけど人がいなくてゴーストタウン」という柳川の設定がうまくはまっています。

 作りてが押し付けるタイプの作品でないので、男性2人の心情やチュアンが若いころなぜ突然2人の前から姿を消したかなど、よくある作品だったら丁寧すぎるほど説明してくるところを観客の想像に任せるところが多い。何が正解かわからないし、突然、脈絡のないできごとが入ってくるというのは人生そのものを表しているのかというふうにも思えました。

 大きな起伏があるわけでもないし、説明も親切でないので寝ている観客もいました。でも、柳川の美しい田園風景を含めてたゆたうように心に染み入ってくるのは心地よい。ニー・ニーの美魔女ぶりとタイプの違った男性2人(池松を含めると3人)のちょっと冴えない部分もいかにもという感じで受けました。池松はアジア映画に進出していますが、中野が起用されたのは中国で往年、大ヒット女優として人気があったからなのかな。とにかく柳川に行きたくなったのは監督の手中にはまったということかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 07:06 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。