作品情報 2022年日本映画 監督:近藤有希、水落拓平 出演:平岡亜紀、花島希美、鈴木卓爾 上映時間:100分 評価★★★(五段階) 観賞場所:横浜シネマリン 2023年劇場鑑賞19本
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【ストーリー】
鹿児島の漁村の島、長島町に売れない女優の高畑城子(平岡亜紀)がやってきた。町出身で数年前に町おこし映画を撮るといって町民から資金を集めたものの撮影は中止。資金をとられただけの町民からは詐欺師、疫病神扱いされていたが東京で一文無しとなり、しかたなくもUターン制度を利用しようと帰ってきたのだ。
宿に泊まるカネもないという城子に、役場の担当課長の市村(鈴木卓爾)は自宅の空いている一室を貸すことになる。市村の娘の由記乃(花島希美)は城子の幼馴染だったのだ。女優気取りの城子は周囲を困惑させるが、大人しい性格で言いたいことも言えない由記乃はそんな彼女に刺激され…
【感想】
長島町を舞台にした映画は「夕陽のあと」(2019年)があり、貫地谷しほり主演で山田真歩、永井大らテレビでも主役経験のある俳優たちが、里子問題というシビアなテーマを抹消面から取り上げていました。本作は当時のスタッフが結集し、もう一度長島町を舞台に映画をと作られたそうです。近藤、水落監督は「夕陽のあと」で助監督を勤めていましたが、今作は完全にコメディテイストと印象が違います。
映画初主演の平岡はこれまで知らなかった女優ですが童顔に見えるので、最初、城子がアラサー設定とは思えませんでした。わがまま、短気ですが底抜けに明るいのが救いという役柄で、高卒後上京し親もなくなっているために島出身ですが、地縁血縁は薄い。人間関係の濃厚な町民を振り回していきます。逆に由記乃は島から一度も引っ越したことがないうえ、大人しいため周囲のプレッシャーにつぶされそうな日々。2人とも性格は真逆なのに、自分のことをわかってもらえないと悩んでいるわけです。
このプライバシー皆無、女は結婚して子供を産むことが幸せという農村の濃厚な人間関係は見ていて辟易としました。町おこし映画なのにこんなとこばかり映していいのかと思いつつ、先日みた「とべない風船」のように、孤島の島民はすべて善人というのも食い足りないので、本作のほうが親切といえるかもしれません。
「夕陽のあと」に比べると題材、演出とも軽い感じになってしまいますし、役者の差というのも出ちゃいましたが、それでもまったりみられる手作り感は味わい深い。主演2人以外では市村課長の情けなさは、やっぱり由記乃の父親というべきなのか印象に残りました。
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