作品情報 2023年日本映画 監督:清水順二 出演:越岡裕貴、工藤美桜、岸谷五朗 上映時間:113分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ湘南 2023年劇場鑑賞24本
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【ストーリー】
江戸時代。なんでもやの紀伊国屋文左衛門(越岡裕貴)は戯作者の近松門左衛門(工藤美桜)と組んで、心中を偽装して道ならぬ恋をしている男女を助ける仕事をしていた。2人のたまり場の「どっぐかふぇ」に堀部安兵衛(寺西拓人)がアルバイトにくる。
堀部ら赤穂浪士が吉良上野介(岸谷五朗)への仇討ちに燃えていたが、実は浅野内匠頭(田中精)と吉良は裏御三家として将軍を守る密命を帯びており、松の廊下の刃傷事件も2人が示し合わせてのものだった。大石蔵之介(田中精)から相談を受けた文左衛門と門左衛門は、敵味方ともだれも死なない討ち入り計画を提案する…
【感想】
冒頭、大岡越前(原嘉孝)が由井小雪の乱を鎮圧するところからスタート。結構、本格的な殺陣ですが、元が舞台だと強調したいのか屋外で戦っているシーンと舞台で戦っているシーンをシームレスにつなげているため、ちょっと見にくくなっています。しかも、登場人物全員が今風のヘアスタイル。
セリフも「どっぐかふぇ」はもちろん、将軍が「江戸のオーディエンスにスピーチする」、「ぶんちゃん、もんちゃん」など普通に現代語でした。正直、はずれを引いたなと思ったのですけど、吉良の登場からがらっと変わり、さすがはベテラン岸谷の貫禄といったところでしょうか。そして、この世界観になれてしまえば、若い役者たちの現代っぽいセリフも含めて妙にいとおしくなります。
忠臣蔵なんて高齢者向けのコンテンツを異世界さながらの新解釈で若者も楽しめるようにするという試みはよし。脚本のアイデアも練っていて、素直に驚きました。ただ、ミュージカルですが歌の部分がよわく、これは歌詞もそうですが音響の工夫の問題かな。同じように時代劇ミュージカルの劇団新感線のゲキ×シネと比べるとちょっと差を感じてしまいました。門左衛門が自立する「まくをおろすな」のナンバーは良かったのですけど、MVにはないみたいで残念。
出演者では岸谷、竹中の存在感は別格ですが、若手のなかでは工藤美桜のアクションが見事。彼女は仮面ライダーと戦隊物のレギュラーをやっているそうで、だからなのかとしきりに感心しました。序盤で挫折するか、それともしり上がりにおもしろくなる世界に浸れるか、見る人を選びそうな作品でした。
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