2023年02月04日

金の国 水の国

 敵対する両国の間の恋物語をハートフルに描いたラブストーリー。キャラデザも含めて癒されるのんびりした作品でものすごい感動したほどでもないのですが、平和の大切さを一途に訴えていることは現代の世情にぴったりでした。

 作品情報 2022年日本映画アニメ 監督:渡邉こと乃 声の出演:賀来賢人、浜辺美波、戸田恵子 上映時間:117分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎  2023年劇場鑑賞31本



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 【ストーリー】
 何百年と争ってきた金の国と水の国。両国友好の証として、金の国の一番美しい姫が水の国の一番賢い男と結婚することになった。だが、両国とも本気にしておらず金の国からは子猫、水の国からは子犬が贈られた。猫は水の国で一番賢いが貧しい技師のナランバヤル(声・賀来賢人)、犬は王の妾の子供で誰からも軽んじられているサーヤ姫(浜辺美波)に贈られた。しかし、約束を違えて動物を贈ったことがばれては両国の外交問題になってしまうため、2人はそのことを秘密にしていた。さらに、砂漠の商業国家で豊かな金の国は、水資源は豊富だが貧しい水の国への侵略を企んでいた。

 サーヤは散歩中に逃げ出した犬を追って水の国に入り込んでしまい、通りかかったナランバヤルに助けられる。おりから、金の国の筆頭王女のレオポルディーネ(戸田恵子)が、水の国から来た婿をみたいとやってきた。サーヤは婿ではなくて犬が贈られたことを隠すためにナランバヤルに夫のふりをしてほしいと頼むのだが…

 【感想】
 原作は大人気コミックだそうですが、未見。ただ、金の国は中東のようなファッション、水の国は中国の歴史衣装のようなファッションで、無国籍風なところがいい。名前からしてこの手のアニメに多いドイツ風のものは皆無ですから、ここのオリジナリティだけで個人的にはポイントでした。

 物語も偽装結婚をする2人のドタバタや、民を愛して平和を守ろうとする2人に対する宮廷の陰謀劇、さらに、クライマックスの手に汗握る追跡劇とオーソドックスにできています。キャラに深みがあるわけでないですが、血なまぐさい現代を風刺するおとぎ話と考えれば、むしろ落ち着くストーリーです。

 脇役のなかではレオポルディーネの腹心でブルカで顔が見えないくせに剣の達人、ライララ(沢城みゆき)がおいしい。征服欲や権力に目がくらんだ宮廷のぼんくらのおっさんたちと良い対比になっています。また、レオポルディーネの愛人でイケメンの俳優上がりながら超切れ者のサラディーン(神谷浩史)など魅力的なキャラがそろってます。平和を守るためには愛と知恵が必要だというのは現実の政治家にもわかってほしい。

 キャラデザは主役2人がイケメン、美人でないところにもまた好感。人気俳優と人気声優の組み合わせというのは最近多いパターン。浜辺のアニメ映画への出演は何作もあって手慣れたものですし、賀来のちょっとアニメというより実写よりの声も、この映画では周りに人気声優をそろえているだけに、異邦人で平和を愛するという異質な行動をとるナランバヤルにはよくあっています。マッドハウスの描く、王宮や大自然の描写も見ごたえがあり、スクリーンで楽しめる作品でした。エンドロールもよく工夫しています。
posted by 映画好きパパ at 06:41 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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