作品情報 2022年日本映画 監督:河毛俊作 出演:豊川悦司、坂東愛之助、天海祐希 上映時間:134分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2023年劇場鑑賞48本
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【ストーリー】
江戸時代。藤枝梅安(豊川悦司)は表では腕のいい鍼医師で多くの人を助けたが、裏では仕掛人として悪を退治する闇の仕事を請け負っていた。
元締めの羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料亭万七の女将おみの(天海祐希)の仕置きの依頼を受けた梅安は客として万七に行き、女中のおもん(菅野美穂)と男女の仲になって情報を聞き出す。そしておみのに近づいた梅安は驚いた。彼女は幼いころに生き別れた妹だったのだ。一方、仕掛人仲間の彦次郎(片岡愛之助)も別の依頼で万七と絡むことになり…
【感想】
子供のころに必殺シリーズは人気ドラマでしたが、僕はあまり好きではありませんでした。正義の名のもとに簡単に人を殺すというのがどうも肌に合わないのですね。でも、本作の場合、梅安の葛藤、悪女であるおみのの哀しい過去などがきっちりと描かれていて、深い味わいのある傑作になっています。とにかく天海祐希がこんなに渋い演技ができたのかと驚くほどうまい。一つ一つのエピソードを淡々と積み上げる丁寧な脚本にも好感がもてます。
また、普段はひょうひょうとした梅安と彦次郎が仕事となると顔つきが変わるのがいい。同時並行的に凄腕の侍石川友五郎(早乙女太一)をめぐる事件が起こり、2つの事件が一つになっていくあたり、原作は未読ですが見事なストーリーテリングです。また、食通で知られる池波が原作なだけに、本作で出てくる料理はシンプルなのに本当においしそう。白米におかかをかけただけであれほどうまそうにみえるとは驚きでした。
そして、石川の存在により梅安の鍼を使った暗殺だけでなく、大人数の剣闘もみられるので時代劇好きとしてはたまらないでしょう。血しぶきをあげる迫力のある殺陣はやはり時代劇の火を消してはならないと思わせてくれます。
河毛はテレビ畑の演出ですが、時代劇ドラマを何本もとっており豪華キャスト出演の時代劇もお手の物。豊川の安定感あふれる演技もさすがだし、愛之助とのコンビは今後公開の第2部でも楽しみになります。脇役ではごろつき役の六角精児が最初本人とわからないような変貌ぶり、そして何より話を重苦しいだけにしない高畑淳子の世話焼きばあさんがほっとせてくれました。
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