作品情報 2021年アメリカ映画 監督:フラン・クランツ 出演:リード・バーニー、アン・ダウド、ジェイソン・アイザックス、ジェイソン・アイザックス 上映時間:111分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2023年劇場鑑賞51本
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【ストーリー】
アメリカの高校で銃乱射事件が発生し、同級生10人を殺害したヘイデンが自殺して事件の幕がおりた。それから6年たった、事件で息子を失ったジェイ(ジェイソン・アイザック)とゲイル(マーサ・プリンプトン)夫婦はいまだに心の傷がいえていない。事件はいったいなぜ起きたのかを知るために、セラピストの仲介で犯人の両親リチャード(リード・バーニー)、リンダ(アン・ダウド)と教会の一室で話し合うことになる。
【感想】
アメリカで続発する銃の乱射事件。特に学校で犯人も犠牲者も生徒だったケースはいったいその裏で何があったのか。日本では起きたことがなく身近に感じられないこともあり、想像もつきませんでした。そういう意味ではジェイとゲイルに近い感じで最初は鑑賞しているのですが、そもそも、高校生といえども親子は別人格。なぜ息子が犯行に及んだかはリチャードとリンダもはっきりとわかりません。
よく、凶悪な事件が起きたのワイドショーとかで、犯人のことを「まさか犯人になるなんて」と驚いている知人、友人がでます。実際、人の心のうちはそうそう他人にはわかりません。その一方で親はメンタルまで含めて子供のことをしっかり見るのが当たり前という感覚は洋の東西を問わずあります。また、加害者の親として社会的な制裁を受けたということもあります。しかし、被害者の親の前では、自分たちが100%悪いと言わざるを得ないわけで、親になることのむずかしさを感じさせます。
冒頭は他愛のない社交辞令、近況報告から次第に子供たちの思い出、そして感情のぶつけあいという構成はみごと。劇映画というよりもドキュメンタリーに近い感覚がありました。場所が教会ということで、席を準備する教会職員の女性がちょっとずれているところも含めて、本当にリアルさを感じさせます。
しかも、BGMも回想シーンもありません。ひたすら密室で4人が話し合うだけ。それにもかかわらず、どんどん物語に引き込まれていきました。人間の生きることの怖さとそれでも人の心の大切さというものが実感されました。教会という場面設定ということも含めてよくできた作品だと思います。
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