作品情報 2022年アメリカ映画 監督:デイミアン・チャゼル 出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ 上映時間:189分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイ横浜 2023年劇場鑑賞56本
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【ストーリー】
1920年代のハリウッド。無声映画が大衆で大ヒットして映画関係者は空前の大儲けをしていた。メキシコ移民のマニー・トレス(ディエゴ・カルバ)は映画会社幹部のウォラック(ディエゴ・カルバ)の召使として、映画関係者を集めた空前絶後のパーティーの準備を進めていた。田舎からロスに来た女優志望のネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)がパーティーに無断侵入しようとして警備ともめていたところ、彼女に一目ぼれしてパーティーの中に入れてあげる。
死人まででるほど大盛り上がりのパーティーを無事取り仕切ったマニーはウォラックに映画会社で働きたいと申し出るが、メキシコ人だという理由で拒否される。しかし、パーティーで泥酔した大スターのジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)を介抱したことから彼の付き人になり、映画界に入ることに成功。一方、ネリーもパーティーでのあまりのはっちゃけぶりがウォラックの目に留まり、映画の脇役に起用されることになり…
【感想】
序盤のつかみがうごいのがチャゼル作品の特徴。本作もウォラック邸での豪華パーティーは何百人の人が裸で踊り狂い、酒、麻薬、セックスなんでもありのすさまじいもの。極めつけは本物の象が歩き回るというもので、当時の映画業界の並外れた儲けぶり、「バビロン」というタイトルにぴったりの退廃ぶりがでてきます。そして、ネリー役のマーゴット・ロビーのいっちゃった演技と、パーティーを失敗なく取り仕切るマニーのすごさが浮き彫りになります。
続いて、ある日のハリウッドの撮影風景。コンラッド主演の歴史映画の戦闘シーンでは本物の死人がでるほどの大乱闘ぶり。CGなんかなかった時代ですから本当に死ぬまで戦うのはしょうがないのでしょう。一方で、ネリーは裸も辞さない体当たりの演技(あれさすがに吹き替えですよね)で、女性監督のルース(オリビア・ハミルトン、チャゼル監督の実際の妻)に見出されます。ライバル役を蹴落とす汚い手段を使う彼女ですが、そばにいたら厄介だけどはたから見れば痛快だったのでしょうね。
前半のどんちゃん騒ぎの古き良き時代が、やがてトーキーの出現とモラルが要求されるようになって変化してきます。ジョンもネリーもトーキーに戸惑うばかり。しかもネリーはトラブルから救ってくれた中国系のモデル、レディ・フェイ・ジュ―(リー・ジュン・リー)との親密ぶりが、同性愛スキャンダルに仕立て上げられます。このへんの栄枯盛衰は劇中にも登場する「雨に唄えば」をはじめ何本も映画で取り上げられています。ジョンやネリーのモデルとされる俳優も実在しており、ハリウッドとしては飽きない題材なのでしょう。
ただ、前半はノリノリのスピーディーな演出にぶっとんだ映像の数々で楽しませてくれたのですが、後半は一転、どこかでみたような感じ。マニーが迷い込むロスのギャング、マッケイ(トビー・マグワイア)の秘密の娯楽場もデル・トロの二番煎じのようにみえますし、
何よりラストがうーんといった感じ。映画愛はすごいのだけどそっちの方向にいっちゃうのかな。
ブラピは想定内の感じなんですが、マーゴット・ロビーのとにかく体をはった演技はすさまじかった。ゲロを嫌味な金持ちにぶちまけるシーンとか大笑いしました。また、メキシコ人のマニー、中国人のフェイ、そして黒人バンドマンのシドニー(ジョヴァン・アデポ)と人種の多様性に気を配っているのに、ストーリー上ですんなりはまっているのはチャゼル監督の手腕を感じました。
それにしても今年はインド映画の「エンドロールのつづき」、それから未見ですがスピルバーグの「フェイブルマンズ」、邦画でも「銀平町シネマブルース」なんてあります。一斉に映画っていいもんですよねみたいなことを言い出したのはちょっと不思議かも。
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