作品情報 2022年日本映画 監督:城定秀夫 出演:小出恵介、吹越満、宇野祥平 上映時間:99分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2023年劇場鑑賞57本
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【ストーリー】
元映画監督の近藤猛(小出恵介)はある事情から映画が取れなくなり、妻(さとうほなみ)と娘(谷田ラナ)とも別れて一文無しになり、郊外の銀平町に流れ着いた。そこで映画好きのホームレス、佐藤(宇野祥平)とミニシアター「銀平スカラ座」の支配人、梶原(吹越満)と出会ったことで、スカラ座で寝泊まりしながらアルバイトをすることになる。
同僚のエリカ(藤原さくら)、美久(日高七海)や映画館の常連たち(中島歩、平井亜門ら)と触れ合ううちに、次第に映画への思いをよみがえらせる猛。折からつぶれかけたスカラ座を盛り上げようと、シネマフェスティバルが計画され猛の未完成の作品が目玉上映されることになったのだが…
【感想】
挫折と再生というテーマは、スキャンダルで一時表舞台からさった小出にとってはぴったりの役柄といえましょう。城定監督と脚本のいまおかしんじということで、外れはないわけですし、吹越、宇野といったベテラン、中島、さとうら城定組という手堅い布陣です。
序盤に怪しげなホームレス支援NPO団体代表(浅田美代子)とのトラブルで、ちょっぴり社会派にふれるのかと思いましたが、基本的には映画愛まっしぐらのウェルメイドな作品。ストーリーの予想はつきましたけど、出演者たちの好演は見ているこちらの気持ちを温かくしてくれます。
小汚いところも含めて、ミニシアター独特の雰囲気がうまく表現されていましたし、一癖ある常連たちの書き分けもうまくいっていました。ああいう常連さんたちと集まれたら楽しいんでしょうね。人見知りの僕にはとても無理なので、すごいうらやましかった。イベントで脇役までちょっとずつ映り込む演出もほんわかします。また、単純なハッピーエンドにならずに、いかにもありそうな感じに収斂していくのもいい。
なんといってもおいしいところを持って行ったのは宇野祥平で、やはりこの人がでているだけで一定以上の水準になっている作品だと安心できます。若手では猛にあこがれる監督役の小野莉奈が劇中劇の内容も含めて、印象につきました。また、ベテラン脇役で昨年亡くなったの渡辺裕之の元気な姿がスクリーンでみられたのも、なんともうれしい。「バビロン」と同じテーマを扱っているとは思えない予算の差ですが、終わった後にちゃんと手を合わせて、良い作品でしたと心でつぶやきました。
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