作品情報 2021年中国映画 監督:チャン・イーモウ 出演:チャン・イー、ユー・ホーウェイ、リウ・ハオツン 上映時間:120分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2023年劇場鑑賞61本
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【ストーリー】
1934年、満州。日本の非道を世界に知らせる「イーモウ作戦」を実行するため、ソ連で訓練した中国共産党のスパイ4人が派遣される。リーダーの張憲臣(チャン・イー)と最年少女性の小蘭(リウ・ハオツン)、張憲臣の妻王郁(チン・ハイルー)と中年男性の楚良(チュウ・ヤーウェン)がペアになり、パラシュートで森林に降下する。
だが、組織上層部から情報は満州国の特務機関に漏れていた。周乙(ユー・ホーウェイ)係長ら特務は4人を追い詰め、ついに張はとらえられるのだが…
【感想】
独自の美学をもっているイーモウ監督だけに、降りしきる雪の中での降下、そして雪が降り積もったハルピンなどでの人知れずの暗闘のショットは印象的。帽子や髭といった当時のファッションに黒いコートや特務の黒っぽい制服などスタイリッシュで、闇の世界の争いという印象が残ります。
ただ、ストーリーとしてはイーモウ作戦だけではなく、特務の中の裏切者探しという要素が後半でてきて、なんかとっちらかった印象。さらに、007のようなアクションに振り切っているならともかく、それ以外は沈鬱でリアルっぽいのに、敵の玉は何発うってもあたらないのに、張たちは一方的に敵を倒すというのもご都合主義ぽかった。
さらに、特務のすごさを表したいのかもしれないけれど、書店や映画館に関する捜査はちょっと、結論ありきで張たちのピンチを盛り上げたいだけでリアル感はなくなってしまいました。最後まで渋い映画だったら良かったのに。日中戦争関係の中国映画だとロウ・イエ監督の「パープルバタフライ」とかしびれたのになあ。
中国映画の売れっ子を集めていますが、特にヒロイン的なリウ・ハオツンはイーモウ監督の前作「ワン・セカンド」の野生児的な演技から一転、若いころのチャン・ツィーみたいな美少女になっています。チャン・イーとのペアは「ワン・セカンド」に続いてですが、今後もイーモウ監督のミューズになるのでしょうか。個人的には特務の女性特務役のフェイ・ファンが役柄的にも表情的にもおいしかった気がします。
なお、ラストに共産党の先人にささげるとクレジットがでたり、エンディングロールに流れる曲の歌詞が、「国を憂う心は永遠」とか共産党色が全面にでていたのがあいませんでした。この手の映画にしては珍しく、特務は全員中国人で日本人の悪役はでてこないのだけど、当時の日本よりも中国の反共産主義者のほうが悪役になっているようにみえました。
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