2023年03月08日

ベネデッタ

 17世紀イタリアで実際に起こった同性愛とされる修道女の物語。ヴァーホーヴェン作品らしく、独特の美意識とエログロ社会風刺を満喫できます。

 作品情報 2021年フランス、オランダ映画 監督:ポール・ヴァーホーヴェン 出演:ヴィルジニー・エフィラ、シャーロット・ランプリング、ダフネ・パタキア 上映時間:131分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ  2023年劇場鑑賞73本



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 【ストーリー】
 幼いころイタリアの田舎町の修道院に入ったベネデッタ(ヴィルジニー・エフィラ)は自分がキリストの花嫁であるという幻覚をしばしば見た。ある日、町の貧しい家出身で実父から性的虐待を受けていたバルトロメア(ダフネ・パタキア)が修道院に助けを求め、ベネデッタの口添えで修道女となる。卑しい彼女を他の修道女が嫌ったため、バルトロメアはベネデッタの世話係となる。世知にたけた彼女はベネデッタに関係をせまり、とうとう関係を結ぶ。

 やがてベネデッタに手足に自然と傷がつく聖痕が現れ、奇跡が起こったと話題を呼ぶ。厳格な修道院長(シャーロット・ランプリング)は疑うが、教会上層部は奇跡を自分たちの利権にしようと、ベネデッタを院長に昇格させる…

 【感想】
 ベネデッタは聖女か狂女か、現代の感覚からいえば聖痕などありえず狂女扱いされるでしょう。しかし、信仰が支配していた中世のイタリアではそれは奇跡でしかありえませんでした。映画もベネデッタ本人は自分が本気で聖女だと信じているように描いています。

 一方、教会幹部ほど信仰よりも自分の利権のほうが大事。院長はまだ懐疑的でしたが、地元の司教らは聖女がいる町として巡礼を集めて儲けるとともに、自分たちの出世のために、奇跡など信じていないに彼女を利用しようとします。このへんは権力者や悪知恵を持つ人たちの流すフェイクニュースに庶民がひっかかっている現代と何も変わりありません。

 おりから国中でペストが大流行。ベネデッタは町にペストは来ないと断言し、実際に他の町が苦しんでいるのに無事でした。このことも彼女が聖女扱いされる要因です。一方、バルトロメアとの行為もどんどん進化し、とうとう小さなマリア像を性具にするほど。はたから見れば不謹慎極まりないのですが、本人はこれと自分がキリストの花嫁であることが一致しているので不思議なものです。

 2人の性愛シーンやゲロやトイレシーン、さらに首ちょんぱされる騎士などエログロシーンは満載。豪華絢爛、原色たっぷりの時代絵巻をみせられているようでおなか一杯。ヴィルジニー・エフィラは毎年セザール賞にノミネートされているフランスの人気女優ですが、ラブシーンも含めて体当たりの演技はさすが。何より名優、シャーロット・ランプリングのドスの聞いた演技と終盤の狂乱ぶりが、作品の質を一気にあげてます。
posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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