作品情報 2022年韓国映画 監督:パク・チャヌク 出演:タン・ウェイ、パク・ヘイル、イ・ジョンヒョン 上映時間:138分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイ品川プリンス 2023年劇場鑑賞74本
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【ストーリー】
釜山郊外の山で60歳の男性が墜落死した。事故、事件、自殺と見方が別れる中、捜査責任者のチャン・ヘジュン警部(パク・ヘイル)は被害者の妻、ソン・ソレ(タン・ウェイ)が若いことに驚く。ソレは中国人でDVを受けていた。ヘジュンの部下のスワン(コ・ギョンピョ)は、取り調べ中にソレが笑っていたとして、殺人説を主張するが決め手はない。
原発で働く妻のジョンアン(イ・ジョンヒョン)は単身赴任中で、不眠に悩まされるヘジュン。ソレを監視するうちに距離が近まり、やがて警察と容疑者という線を超えて特別な感情を持つようになり…
【感想】
ファムファタールに魅入られた警官(探偵)というのはハードボイルドの定番。ヘジュンの睡眠不足もあり、実際にはその場にいないのにソレの自宅の隣に自分がいるような幻想も多数あり、何が真実で何が嘘か観客も含めて五里霧中となります。ソレによってヘジュンが崩壊したというのが前半の真実といえましょう。
後半になるとがらりと様相は変わります。精神に不調をきたしジョンアンの住む海辺の町の警察に転勤となるヘジュン。そこで思いもかけない再会があります。愛しているのは妻かファムファタールか、海か山か、晴か霧か、事件か事故か。さまざまな二項対立をちりばめるのはいかにもパク・チャヌク監督らしい。
また墜落死した遺体の顔に虫がたかっていたり、ヘジュンの自室に未解決事件の写真が偏執狂のように飾ってあったりと、どす黒さ、汚さもチャヌク作品らしい。謎解きシーンでかかるマーラーや、エンディングロールにもなっている韓国の古い歌謡曲「霧」といったBGMの美しさも非常に印象的です。
「ラスト、コーション」で世界的に評価された中国人女優のタン・ウェイですが、こんなに韓国語に堪能とは驚きました。ラスト、コーション同様、ミステリアスなサスペンスに登場する美女を演じさせたら天下一品ですね。2人は愛し合っているのは真実の愛かそれとも打算か。タイトルも含めて大人の愛とは何かを考えさせられるずっしりとした作品でした。
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