2023年03月16日

彼岸のふたり

 幼いころに児童虐待を受けた少女が養護施設から巣立って社会の厳しさに直面する物語。「ほどけそうな、息」に続く児童虐待物で、鬱映画の好きな僕でもしんどかったです。

 作品情報 2022年日本映画 監督:北口ユースケ 出演:朝比奈めいり、並木愛枝、寺浦麻貴 上映時間:90分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:横浜シネマリン  2023年劇場鑑賞81本



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 【ストーリー】
 幼いころに命にかかわる児童虐待を受けて、児童養護施設で育った西園オトセ(朝比奈めいり)は施設を巣立つことになり、ホテルの清掃係で働くことになる。それを聞きつけた実母の陽子(並木愛枝)が14年ぶりに彼女の前に姿を現す。カネが目当てとわかっていながらも、うれしさを感じるオトセ。

 彼女のなじみの定食屋の娘、広川夢(寺浦麻貴)は地下アイドルをしていた。だが、望まぬ妊娠をしてしまい、しかも相手はマネージャー(平田理)。自分の妊娠を告げられず、夢だったアイドル活動にも支障がでてきて…

 【感想】

 まず、シネマリンの番組プログラムを作った人はドSなのかと疑いたくなりました。2本続けて児童虐待ものですから。それをしんどい思いで見る僕もドMなんでしょうね。それはともかく、両作品ともしんどい現実をみせつつも、光を見せるというテイストが似ていたのも驚き。

 それはさておき、序盤、虐待をうけた幼いオトセ(徳網ゆうな)が呆然としながら家から出てぼろぼろの姿で歩くワンカットでとらえたところから、すごい映画に出会ったと思いました。北口監督はデビュー作だし、撮影の石原ひなたも新人なのに。また、オトセに付きまとう謎の男ソウジュン(ドヰタイジ)のシーンの明暗の使い方や黒っぽいファッションまで、センスの高さがストレートに伝わってきます。

 ストーリーとしてはオトセの話をメインに、夢の話がサブとなり、時折交差していきます。「彼岸のふたり」のふたりはオトセと夢、オトセと陽子、オトセとソウジュン、夢とマネージャーなどいろいろな組み合わせが考えられ、どれも一筋縄ではいかない複雑なもの。

 オトセと夢はまだ少女といっていい年頃なんだけど、陽子やマネージャーなど周囲の大人たちにくずが多いのはしんどかった。唯一、夢の母(真砂享子)はまっとうで、この母親だから夢もしっかり育ったのだろうと実感できるけど、オトセの場合はろくなのがいない。せっかく清掃係の先輩のフィリピン女性(エレン・フローレス)とうまくいきかけても、陽子、そしてソウジュンが邪魔してしまう。人のめぐりあわせは運が大きいとはいえ、子供にとっては酷な状況は引きずるものだと実感しました。

 ただ、個人的にはラスト、特にオトセの部分は合わなかった。問題が解決したようで根本的には何もかわっていないわけです。血のつながりはそんなに大切なものなのか、ちょっと甘さがでてしまった気もしました。朝比奈、寺浦のフレッシュな演技もよかったけど、並木愛枝は「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の永田洋子役ですが、当時よりも若く美人にみえた。女優はすごいなあ。

posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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