2023年03月21日

生きる 大川小津波裁判を闘った人たち

 東日本大震災の津波で児童、教職員計84人が亡くなった宮城県石巻市の大川小学校。そこで遺族が裁判を起こしていたのは知っていましたが内容までは知りませんでした。そしてここでも明らかになった役人のひどさ。本当に日本の公務員はどうしようもない組織だと実感しました。

 作品情報 2022年日本映画ドキュメンタリー 監督:寺田和弘 上映時間:124分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:横浜シネマリン  2023年劇場鑑賞90本 



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 【ストーリー】
 84人が亡くなった大川小学校。だが、被災地でも一か所の学校でこれほど犠牲者がでたのは他にありません。地震後すぐに避難せず、40分以上も校庭にとどまったことで犠牲者が多くなりました。しかもただ1人生き残った教員の証言が生き残りの児童や地域住民と食い違う。小学校のすぐ裏の山に避難すれば助かったはずなのになぜなのか。遺族たちの学校への不信は高まります。

 しかも、早退して津波時にいなかった校長や教育委員会の説明会での説明は真相を隠ぺいしているとして遺族が激怒。教育委員会が関係者から聞き取ったメモを廃棄したり、避難場所を決めたと報告していたのに実際には避難場所が決まっていなかったなどの学校側の問題点が次々に明らかになりました。そのうえ教育委員会は遺族との対話を拒否。とうとう訴訟に発展します。

 児童のなかには裏山に逃げるよう泣きながら提案するものもありましたが、教師たちはそれを無視。明かな学校の不手際を隠ぺいしようという体質は、次に紹介するWinnyの警察、検察が隠ぺいやでっちあげをしたのと同じ、日本の官僚機構がいかに腐っているかわかります。第三者委員会もメンバーの東北大教授の娘が事務局長になるなど、お手盛りをぬぐえず遺族の絶望は深まります。

 もし、僕の子供が災害に巻き込まれ、本当は助かるはずだったのに学校の不手際で亡くなったらどうなるか。遺族の怒りは同じ子供を持つ親としてストレートに伝わってきます。逆に大川小を教訓にしなければ、災害時にまたも同じことが起きかねないのです。遺族たちは裁判後の記者会見で、亡くなった子供たちの写真とともに「先生の言うことを聞いていたのに!」というキャッチフレーズを書いていました。特に小学生は教師にさからえません。子供たちの犠牲を踏みにじる学校や教育委員会の姿勢は唾棄すべきものでした。

 映画は遺族が撮影した説明会の映像などを中心としており、事実を淡々と並べています。遺族側弁護士の著作が原案となっていますが、それを踏まえても行政の対応は明らかにおかしい。また、遺族も訴訟に参加したのは半分以下。訴訟後村社会で陰口や脅迫に悩まされたという日本社会の嫌な部分もしっかりと取り上げていました。遺族の中には自殺まで考えた人もいました。そもそもここでも日本の法制度の限界があり、損害賠償請求しか起こせないのです。つまり、自分の子供が死んだ値段をいくらか決めないとならない。もし、最初から学校や教育委員会が嘘をついていなければ、訴訟は起こさなかったと遺族たちは口々にいいます。

 それでも、真実を自分たちの手で明らかにしよう最高裁まで8年も闘い続けた姿勢は何よりも尊く、心を打ちました。映画の中で、東大の米村教授が「もしも、この判決がなかったら東日本大震災は日本社会に何も教訓を残さなかった」とコメントしてます。学校が子供の最後の場所になってはならないという裁判官のコメントもありました。こうした犠牲が二度と出ない仕組みになっているよう切に祈ります。

 なお、上映後に主題歌を唄う廣瀬奏さんの生歌唱がありました。廣瀬さんも宮城県出身で震災で友人を亡くしているそうです。その思いがこもった歌はすっと心に差し込んできました。なお、映画をみたのは3月12日だったので普段ガラガラ(失礼)のシネマリンが補助席までだすにぎわいぶりでしたが、日付にかかわらず多くの人に見てほしい作品です。
posted by 映画好きパパ at 06:31 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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