作品情報 2022年フランス映画 監督:クリスチャン・カリオン 出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、アリス・イザーズ 上映時間:91分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2023年劇場鑑賞119本
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【ストーリー】
カネもなく妻子との関係もしっくりいっていないパリのタクシードライバー、シャルル(ダニー・ブーン)。一人暮らしの老婦人でマドレーヌ(リーヌ・ルノー)を長年親しんだ家から施設まで送り届けることになった。
マドレーヌは途中、自分が生まれ育った家に寄りたいと注文を出し、その後も彼女の思い出の場所を次々と回る羽目に。最初は面倒くさかったシャルルも、マドレーヌの小粋なしゃべりかたと、想像を絶する過去に引き込まれていき…
【感想】
パリに行ったことのある人だと、パリのあちこちをめぐるので楽しめたでしょう。僕はパリに行ったことがないので、その部分はよくわからなかったのですが、シャルル同様マドレーヌの話にどんどん引き込まれていきました。
ヨーロッパ映画でよくある第二次大戦での悲劇はさらっとしか触れられません。しかし、戦後、自由の国フランスでも女性が一人で生きるというのがいかに大変だったのか、日本以上にひどい男性中心の社会がどんなものだったのか、当時の回想を交えながら進んでいくストーリーは魅力的。やっぱり時代の犠牲者というのでしょうか、マドレーヌがそれでもしっかりと生きてきたということには尊敬の念に打たれます。
一方、シャルルはマドレーヌの話を聞くうちに、妻子を愛することがいかに大切かということに気づき、同時に生きることの意味をかみしめていきます。観客も同じような気持ちになるでしょう。ただ平穏に生きているだけでなんと幸運なことかと。同時に、そんな悲劇にもかかわらず自立して生きてきた彼女の強さにも感動します。
マドレーヌの年になれば悲劇も喜劇も変わらないのか、ユーモアあふれるセリフも印象的。笑えて切なく家族の大切さを感じられる良質な作品です。リーヌ・ルノーは撮影時92歳とは思えない矍鑠とした演技。こういうふうに年を取りたいと思わせる上品さはさすがでした。若いころのマドレーヌを演じたアリス・イザーズも芯の強さを感じさせる美しさが魅力だし、1940〜50年代のパリのファッション、音楽などの文化もよかった。
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