2023年04月16日

死体の人

 死体専門の売れない役者と恋人のDVに悩む風俗嬢の触れ合いを描いたハートフルなコメディ。その割に古今東西の「死」に関する名言のモノローグがあるのが奥深い。

 作品情報 2022年日本映画 監督:草苅勲 出演:奥野瑛太、唐田えりか、烏丸せつこ 上映時間:94分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2023年劇場鑑賞120本



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  【ストーリー】
 売れない役者の吉田広志(奥野瑛太)は最近は死体役ばかりだが、演技に妙なこだわりがあり周囲から煙たがられていた。自宅アパートに呼んだデリヘル嬢の加奈(唐田えりか)の忘れ物の妊娠検査薬を酔った勢いで試すとなんと陽性がでてしまう。

 一方、加奈は売れないバンドマンの彼氏翔太(楽駆)からDVを受けていたが、別れられなかった。ところが妊娠が発覚。翔太に頼めない彼女は、客で妙に意気投合した広志に産婦人科まで付き添ってもらう。その広志に、田舎の父(きたろう)から母(烏丸せつこ)が入院と急に連絡があり…

 【感想】
 大傑作「猿楽町で会いましょう」を生み出した未完成予告編大賞の最新受賞作。ストーリーはテンプレみたいなところもあるけれど、夢とかけ離れた死体役が多いことで死について突き詰める広志の妙なこだわりがクスリときます。奥野はコワモテの役が多かっただけに、こんなとぼけた役ができるというのはすごい意外。

 実際に死体役の役者がこんな妙なこだわりがあったら周囲も困惑するでしょうけど、妊娠騒動も含めて本人は大真面目だけに傍から見ると笑えてしまう。一方で母の入院に関するシークエンスは、悪くはないのだろうけど驚きのない展開であり、それ以外のユニークさと比べるとちょっともったいない気もしました。

 そして、ヒロインの唐田えりかはお色気にあふれるデリヘル嬢役。スキャンダルが出る前は清楚な役が多いイメージだけに、やはりスキャンダル後はこういう路線で売り出すのか。まあ、デリヘルで彼女のような美人で気さく、プロ意識の高い人がくれば広志のみならずのめりこんじゃいそうだけど。

 余談ながら、スキャンダルの相手役の東出昌大はテレビドラマからは消えましたが、映画出演は絶えません。東出ならではの存在感、風貌は余人をもって代えがたいということでしょう。そもそも不倫は当人の問題であり、社会的に抹殺するのは行き過ぎと思います。半面、唐田の復活は遅れました。男女差というよりも、唐田が「代えがたい女優」とまではいえなかったことも原因があるのでは。本作ではその彼女の存在が見ていて心地よく、今後は「代えがたい女優」として活躍するのではとの期待を抱かせます。 
posted by 映画好きパパ at 21:37 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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