作品情報 2021年日本映画 監督:堀川湧気 出演:斉藤天鼓、笠松七海、入江崇史 上映時間:38分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2023年劇場鑑賞124本
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【ストーリー】
スーパー銭湯で清掃員として働くことになった市川亮太(斉藤天鼓)は大ベテランの木下健一(入江崇史)の指導の下、今まで知らなかった清掃の重要性やろ過装置の役割などに気づき、仕事に興味をもっていく。
だが、コロナ禍の蔓延で休業を余儀なくされ、とうとう閉鎖されることになった。最後の夜、市川は思い出の場所である大浴場に忍び込み、真っ暗な中掃除をはじめる。そこに同じ思いをもった同僚の成澤玲奈(笠松七海)や木下が集まってきて…
【感想】
長編にしなかった分、登場人物たちの思いが素直に伝わってきて好感がもてます。僕もスーパー銭湯は時々利用しますし、清掃員がいるのは目に留まっていましたけど、終了後、ここまで丁寧に掃除をしているのかと思うと頭が下がりました。また、濾過装置も気に留めたことがなかったので市川同様に驚きました。
市川の過去に触れられていないため、なぜ、彼が銭湯で働くようになったのかわかりません。しかし、僕と同様、今まで客でしかなかったのが裏側をみて驚くとともに、同僚に敬意を抱き、やがて自分の仕事に充実感を持つようになる描写はとてもスムーズ。
一方、大ベテランの木下の仕事の丁寧さはさすがはプロといった感じ。デッキブラシのかけかたでも、市川との違いは歴然でどんな仕事もこの道何十年のベテランはすごいと思わされます。この2人は銭湯で働いた時間は全然違うけど、一期一会という言葉でないですが同じ釜の飯を食った仲間として、銭湯愛にあふれて深夜の銭湯にもぐりこみ、別れる前に丁寧に掃除をしていくのがいい。もう閉鎖されるのに最後にきれいに送り出してやりたい。そんな真心がストレートに伝わってきます。
また、成澤や長浜佳子(伊澤恵美子)という若い女性清掃員もそれぞれ銭湯の思いをもって最後の作業を実施。これまた短編ということもあるでしょうけど、市川と恋愛になるような展開はなく、とにかく銭湯への思いをもった同志であるというのがみていてすがすがしかったです。最近では豪華スター共演の「湯道」がありましたが、本作はよりリアルで、変にひねっていない分、見ているこちらも心地よくなりました。とはいえ、せっかく面白い素材だったので長編でみたかったなあ。
「還る」は元プロレスラーで現在は清掃員で銭湯のエキスパートとなった井上勝正のドキュメンタリー。プロレスの知識はないのですが、ファンだったらこういう人生のあゆみがあるのも興味深く観られたのでは。そして、併映の2つのタイトルがコロナで生活が大変になった人たちへのエールになっている気がします。
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