作品情報 2023年日本映画ドキュメンタリー 監督・出演:ダースレイダー、プチ鹿島 上映時間:109分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマ・ジャック&ベティ 2023年劇場鑑賞134本
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【ストーリー、感想】
ダースレイダーとプチ鹿島はユーチューブで政治問題を取り上げる「ヒルカラナンデス」という番組を持っている。2021年の衆院選と22年の参院選で、実際に話題となっている選挙現場へ行って配信を行いました。
21年の衆院選では香川1区に突撃。同名の映画で話題になりましたが、地元の大企業四国新聞の一族・平井卓也デジタル大臣に立憲民主党の小川淳也、維新の町川順子の3氏が立候補。このうち、小川氏はマスコミ慣れしているので2人の取材も楽ですし、町川氏も気さくに話してくれたのですが、平井氏陣営が映画の影響もあってかピリピリ。公道での演説を撮影していると、屈強な男2人がカメラを無理やり抑え込もうとします。さらに秘書も事前の約束を翻しており、まあ既得権益の自民党はさもありなんという感じ。
きわめつけは四国新聞があまりにも一方的に平井氏を応援し、小川氏を批判する記事を掲載していることで、四国新聞に逆取材したこと。選挙現場にいた四国新聞記者は、官僚的な答弁に終始して逃げ回り、本社にいくと質問をこの時代なのに、ファックスで送れというアナログぶり。その顛末もあわせて、自分たちが取材するときは偉そうなのに、取材される側になるととことん醜い地方紙の実態がわかります。マスクしているとはいえ全部顔出しで、ジャーナリストではなくて権力の手先だといわれてもしょうがないのでは。
後半の参議院選では大阪選挙区を中心に取材しました。ここでは自民党の松川るい氏は朝まで生テレビに一緒に出演したせいか非常に友好的。一方、維新が公道での撮影もアップ前に許可をとるようにといってきて、ここでも権力を握ると好き勝手にするという姿がみえます。さらに、立憲民主党の菅直人元首相は、当初は協力的だったのが維新に対して厳しい姿勢が党内でも批判がでていると週刊誌で書かれたあとは、一転、逃げ回るありさま。政党を問わず政治家が説明責任を考えていないことがよくわかります。
そして、選挙ドキュメンタリーとして歴史的価値を高めているのが、安倍元首相銃撃の日も取材をしていたこと。党派的に対立しながらも縁の深い立憲の辻元清美氏が安倍元首相が亡くなったことを知らされた時の表情をロングカットで映し出し、彼女が涙目になる姿をみせるなど、見ているこちらも感慨深くなります。
同時にSNSで、自民党批判、安倍元首相批判をするのがおかしいというムードについても、2人はおかしいという立場をきっちり示しています。選挙がしっかりと成立するには自由な言論が重要なわけですけれど、そのことを実感させる名ドキュメンタリーでした。
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