2023年04月30日

レッド・ロケット

 「フロリダ・プロジェクト」で絶賛されたショーン・ベイカー監督の新作。貧しい白人が主人公で短いシーンをつなぐという手法は変わりませんが、ちょっと下ネタとブラックユーモアがきつい印象でした。

 作品情報 2021年アメリカ映画 監督:ショーン・ベイカー 出演:サイモン・レックス、ブリー・エルロッド、スザンナ・サン 上映時間:130分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷  2023年劇場鑑賞136本 



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 【ストーリー】
 ポルノ映画のスターだったマイキー(サイモン・レックス)は落ちぶれて借金まみれとなり、別居中の妻レクシー(ブリー・エルロッド)と義母のリル(ブレンダ・ダイス)が暮らす故郷のテキサスの田舎町に17年ぶりに戻ってくる。

 口ばかりはうまいマイキーだが、元ポルノ俳優ということで働き口は見つからず、ちんけな麻薬の売人をして稼ぐことに。ある日、レクシーと出かけたドーナツ屋でアルバイトする女子高生のストロベリー(スザンナ・サン)に一目ぼれして…

 【感想】
 アメリカというとニューヨークやロスのエリートばかりが日本人の脳裏に浮かぶでしょうが、現実には白人でも田舎町に暮らす底辺の人間がうようよいます。劇中、2016年大統領選でのトランプの演説が流れますが、そりゃうさんくさいエリートのヒラリーは負けてトランプが勝つのがよくわかります。

 スザンナ・サンも演技初挑戦ですし、脇役はほとんどテキサスの田舎町の住人をそのまま起用。だから、巧さはない分、荒廃した町のリアルさが伝わってきます。主要人物は夢も向上心もなく、毎日を適当に暮らせればいいとまともに働かない。将来のことなど考えもしない。こうした人たちがアメリカの田舎町のかなりの部分を占めるのだろうと思わされます。

 ロスで失敗して都落ちしたマイキーもその一人。けれども、この街をでてビッグになりたいという夢をみるストロベリーに感化されます。欲情もあったでしょうけど、マイキーの回りで唯一夢をみていることに惹かれたことがわかり、単なるロリコンで片づけられない人間心理の複雑さを垣間見られました。

 一方で、麻薬はもちろんそうですが、それ以上に社会の常識、規範を一切無視して享楽的かつ怠けて暮らす主要登場人物たちの行動にはイラっときます。終盤、思わぬ出来事が次々と起きるので若干カタルシスはありますけど、それでも反省せずに調子のいい住民たちに最後まであきれっぱなし。「フロリダ・プロジェクト」が子どもの貧困を分かりやすく伝えていたのに比べると、アメリカの田舎町に暮らさないと実感できないような作品でした。
posted by 映画好きパパ at 06:37 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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