作品情報 2022年日本映画 監督:金子由里奈 出演:細田佳央太、駒井蓮、新谷ゆづみ 上映時間:109分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2023年劇場鑑賞143本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
京都の大学に入学した七森剛志(細田佳央太)は恋愛がわからず、自分は人を好きになることができないのかと自問していた。入学式で知り合った麦戸美海子(駒井蓮)とぬいぐるみサークルを見学に行き、ぬいぐるみを作るサークルでなく、人には言えない悩みをぬいぐるみに打ち明けるサークルだとしり驚いたが、自分自身も大切にしていたぬいぐるみがあったため、美海子と一緒に入部する。
一癖も二癖もある先輩たちにまじって、同じく新入生で恋愛強者の白城ゆい(新谷ゆづみ)も入部してくる。ゆいと気が合った七森は思い切って告白する。だがゆいに「私のこと本当に好きなの?」と聞かれ…
【感想】
何十年かぶりに自分のために、ぬいぐるみを買おうと思いました。最初、ぬいぐるみに話しかけている男女の姿は奇妙で、しかも、それが何人もいるのにはぎょっとしましたけど、やはり個が孤立しがちなのは若者も同様で、ぬいぐるみという依り代にすがるというのは哀しさと安心感の両方を感じられました。はたから見れば美人の美海子がコミュ障でぬいぐるみ頼りというのも、人は見かけによらないを地で行っています。
また、セクシャリティの問題もいれています。剛志は恋愛や性交渉のできないアロマンテック・アセクシャルっぽいですが、そういう概念をしらなければ、他人を好きになれない、Hなことができない自分がおかしいとあせります。僕自身が若いころ似たような感情だったので同意しました。
また、一見派手な美人のゆいが、わざとセクハラをしてくるようなパリピ―のサークルに属するというのも闇が深く、若い世代でも女性蔑視、セクハラというのがまかり通っている現実がわかります。彼女がいい子だけに、剛志の対応も含めてしんどい。幸せになってほしいとしみじみ。さらにテーマにあるけど、優しさっと何だろうとも考えさせられます。ただ、みんな重たく広いテーマなので、それぞれさらっと触れられる程度なのはもったいないと思いました。
さらに、少し演出に癖があるというか、たとえばぬいぐるみ内部にカメラを入れた視点があまり効果的とは思えなかったですし、肝心の場面は見せないで次にスルーするというのも含めて、全体的にもやっとしてしまい、漠然としたイメージとまりではないかと思えてなりません。ただ、中心の3人を含めた登場人物への温かい目線、嫌なことをする奴が嫌なやつではなかったりする生暖かさなど、全体的に優しい視線はみているこちらを癒してくれます。
役柄もあるけれど、新谷がこんなに目力の強い女優だとは思いませんでした。「わたしの見ている世界が全て」「マイスモールランド」などではほとんど気に留めなかったので。そういえば、学生時代あこがれていた女の子に似ているなとも、はじめて思いました。細田はこういう役にはまりすぎ。駒井は見る作品のたびに印象が変わり、それぞれあっている不思議な女優です。監督が立命館出身でロケも立命館だけど、ほとんどの登場人物が標準語でした。今の京都ってこうなのかな。
【2023年に見た映画の最新記事】