2023年05月14日

ウィ、シェフ!

 一匹狼のシェフが子供に料理を教えるというプロットはよくあるけれど、女性シェフで移民と絡めたのが今風。料理の鉄人のような番組の構成がよくわからないのが惜しかった。

 作品情報 2022年フランス映画 監督:ルイ=ジュリアン・プティ 出演:オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ、シャンタル・ヌーヴィル 上映時間:97分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2023年劇場鑑賞154本



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 【ストーリー】
 一流レストランのスーシェフ、カティ・マリー(オドレイ・ラミー)は腕はいいものの周囲と衝突ばかり。とうとうシェフのリナ(クロエ・アスター)と衝突して辞めてしまう。しかし、再就職先は見つからず困ったマリーがようやく見つけた職場は不法滞在の少年たちの施設だった。

 ろくな設備も人でもなくて不満をいう彼女に施設長のロレンソ(フランソワ・クリュゼ)は少年たちをアシスタントに使うことを提案する。少年たちは18歳までに職を見つけないと強制送還されるため、料理人として鍛えてもらおうというのだ。悪戦苦闘するマリーのところに、テレビ局から料理対決番組への出演依頼が来るのだが…

 【感想】
 女性のシェフがフランスでは当たり前なんでしょうけど腕前だけで働くのは困難。頑固で口の悪いマリーは失敗ばかり。施設にきた当初も不平はいうし、不法移民の少年たちを正面から見ようとしないために失敗してしまいます。しかし、少年たちを鍛えるという役目を得てから水を得た魚のように頑張りだしました。

 料理の世界は厳しく、少年たちはマリーに返事する際は「ウィ、シェフ」と言わなければなりません。最初は嫌がる少年もいました。しかし、畑の収穫から一緒に泥んこになり、料理を基礎から教える間に、師弟愛が芽生えてきます。アフリカの国のなかには男性が調理をしない国もあるようでしたが、男女、国籍、年齢を問わずきっちりとした腕前を身に着けさせようとするマリーは師匠として立派です。彼女の信念を曲げずに料理に打ち込む姿は尊く、少年たちの手本になっていました。厳しく人嫌いの彼女も少年たちと触れ合ううちに人間らしい笑顔や移民についての考えが出てくる成長ストーリー。

 クライマックスはテレビでの料理対決なんですが、このシステムがわからない。フランスに実際にある番組なんでしょうかね。だから、クライマックスの感動がちょっと減じられた感じはありました。それでも単純なスポコンのようにしないで、移民の苦渋や女性差別、職業の重要性を盛り込んだ脚本はさすがフランス。ラストも大団円になっておらず甘くもありほろ苦くもありというのが大人の映画です。

 マリーの若い友人で女優志望の黒人女性ファトゥ(ファトゥ・キャバ)や移民の少年の何人かは、役名と俳優本人のファーストネームが一緒。実際に演技経験が少ない移民の子供をオーディションで選んだそうです。少年たちのなかで一番幼く出番の多い10歳のギュスギュスはヤニック・カロンボという俳優が演じていて本名と関係ありませんでしたけど。

 また、作品に出てくる料理は美味しそう。あれだけの肉をがっつり食べたらうまいだろうなとか、アフリカ料理とフレンチをうまく融合させたらすごいだろうなと見とれてしまいました。
 
posted by 映画好きパパ at 06:16 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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