作品情報 2022年フランス、イギリス、ドイツ映画 監督:ミア・ハンセン=ラヴ 出演:レア・セドゥ、パスカル・グレゴリー、メルヴィル・プポー 上映時間:112分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2023年劇場鑑賞161本
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【ストーリー】
5年前に夫を亡くしたサンドラ(レア・セドゥ)は女手一つで8歳の娘リン(カミーユ・ルバン・マルタン)を育てながら、通訳の仕事で稼いでいる。気になるのが高齢で一人暮らしをしている父親ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)に認知症がでてきていること。
やがてゲオルグの症状は悪化して一人暮らしはできなくなり、施設を探すがなかなか見つからない。落ち込むサンドラは亡夫の友人のクレマン(メルヴィル・プポー)と不倫関係になってしまい…
【感想】
レア・セドゥが髪をバッサリショートにして、化粧も薄いシングルマザーを好演。数分程度の短いシーンをつないでいき、説明描写はできるだけ避ける最近よくみる演出。話自体は濃いのですけど、スパン、スパンエピソードが断ち切られて次のエピソードにいくと、終盤は結構、眠くなります。
まあ男女の友情は成立しないというか、すぐにHになって不倫に進むというのはフランス映画っぽいけど、日本でもあるのかもしれません。介護、育児それぞれ必死なのにやっと安らげると思った恋が不倫なんてドツボにはまっちゃいます。自業自得といえるかもしれませんが、サンドラの不安になる気持ちも分からないでもない。でも不倫がばれて相手の家族はめちゃくちゃになっているのを見ると、やはり不倫は周囲を不幸にするとしみじみします。
恋はともかく介護はフランスでも悲惨。病院や老人ホームをたらいまわしにされ、空いているのは安くて待遇の悪いところしかない。病院も老人ホームも職員が疲れ切っているのか、老人をちゃんとした人間ではなく収容しているモノのように扱っているのが、現実を反映しているようで哀しくなります。
元教師のゲオルグが大切にしていた本もどんどん捨てなければならないし、記憶がどんんどん定かでなくなっていくのは本人にとっても不安でしょう。そのうえ、住み慣れた家から強制的に連れ出されて、安くて狭い部屋に押し込められるのだから。サンドラが懸命に介護しようとしても自分の生活もあるし、結局、老人は不幸になっていくのが目も当てられません。長生きしたくなくなるよなあ。
唯一の救いは明るく元気な少女リン。サンドラとの関係も基本的に良好だし、おじいちゃんのお見舞いにもいく。クリスマスのシーンは本当に家族の仲の良さがわかって心が温かくなりました。こういう子供のころだったら生きているのは楽しいだろうな。でも老いゆくことからだれも避けられない。人間とはなんて哀れな生き物なんでしょうか。それでも生きていかなければならないのも残酷に感じました。
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