2023年05月24日

青春弑恋

 ある悲劇に巻き込まれることになった、一見接点の少ない若者たちの群像劇。予備知識なしで映画を見たので驚きました。最近の台湾映画はアイデアが豊富ですよね。

 作品情報 2021年台湾映画 監督:ホー・ウィディン 出演:リン・ボーホン、ムーン・リー、リン・ジェーシー 上映時間127分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:横浜シネマリン  2023年劇場鑑賞165本



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 【ストーリー】
 外洋船のコック、シャオジャン(リン・ジェーシー)は落ち着いた生活をしたくて船を降りて台北の中華料理店で働くことにした。かつてのバイト仲間のユーファン(ムーン・リー)と再会し、急接近する。

 引きこもりの大学生、ミンリャン(リン・ボーホン)はネットで配信されているアダルト動画の女優、モニカ(アニー・チェン)に一方的に恋をしていた。シャオジャンの働く中華料理屋の一人娘キキ(ヤオ・アイニン)は厳しい両親に反発。日本に渡って人気コスプレイヤーになることを夢見ている。ところが、ある悲劇にそれぞれが巻き込まれることとなり…

 【感想】
 一見、関係の薄い人たちがちょっとずつ接点があるグランドホテル形式の作品。本作の場合、全員の接点はないものの個々の接点は結構濃密で、5人が偶然結びついているというのはできすぎのような気がしますが、それでも5人のキャラクターが立っていて面白い。

 ユーファン、ミンリャン、キキは親との関係に悩んでいます。ユーファンの父は若い秘書と再婚し、彼女が邪魔者扱いされているというのは「ガール・ピクチャー」にも似たような悩みがあったので、国を問わずにこうした悩みがあるのかと実感しました。ミンリャンの父は自分は酔ってDVをするくせに、偉そうに子供に説教をする。キキの両親はちょっと口うるさいぐらいですが、女子高生になるとその程度でも嫌なものでしょう。

 一方、恋愛や将来について悩むというのも「ガール・ピクチャー」同様。特にせっかく良い大学に入りながら引きこもりをしているミンリャンは、次第にモニカのことで思いつめてストーカー的な行動をとっていくようになります。そのモニカは一度でてしまったAVがいつまでもネットに残り、自分の将来の足かせになっていることにおびえています。今の若者ならではの悩みが、おじさんの僕にもストレートに伝わってきます。

 それぞれが鬱屈した中、想像もしなかった悲劇が発生します。このあたり、時系列をずらしたりするテクニックはなかなかのもの。序盤から引き込まれ、いったい悲劇の原因がなんだったのか、さかのぼって明らかにされていく演出にはまりました。

 リン・ジェーシーはハリウッドや中国での大作にも出演。日本でも金田一少年のスペシャルドラマにでており、台湾の若手俳優の中でも期待のホープ。他の面々も次世代のスターをそろえました。まあ、女子高生役がはまっていたヤオ・アイニンの実年齢が30歳というのは驚きましたが。雨や夜景をつかったスタイリッシュな映像に、ショパンのノクターンが効果的に使われ、悲惨な現実と幻想的な世界を結び付けていました。
posted by 映画好きパパ at 06:02 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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