2023年06月10日

苦い涙

 フランスのヒットメーカー、フランソワ・オゾン監督が1972年のライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作を翻案した喜劇的な愛の物語。古典的な戯曲調で芸達者の出演者は見事だったけど、やはり愛がすべてという所に古臭さを感じてしまいました。

 作品情報 2022年フランス映画 監督:フランソワ・オゾン 出演:ドゥニ・メノーシェ、イザベル・アジャーニ、ハリル・ガルビア 上映時間85分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町  2023年劇場鑑賞184本
 


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 【ストーリー】
 1970年代、世界的な映画監督でゲイのピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ)は恋人と別れて落ち込んでいた。そこへ友人で大女優のシドニー(イザベル・アジャーニ)が旅行中に知り合ったという美青年、アミール(ハリル・ガルビア)を紹介する。

 ピーターはたちまちアミールに夢中になり、贅沢をさせて自分の映画に起用する。しかし奔放なアミールに振り回され、やがて…。

 【感想】
 オリジナルは日本未公開だそうで、まったくの未見です。ただ原作通りの70年代のドイツの雰囲気を濃厚に残しているし、出演者も古典演劇調に声を張り上げ、大げさな身振りをするところが笑えます。

 中年の大監督が若手女優に入れあげて、自作に出演させるなんていったら今ではスキャンダルになるでしょう。それを70年代、しかもゲイにすることでいい年して、大学生の娘もいるのに恋でおかしくなった滑稽さを見せてくれます。僕自身の性格があるかもしれませんが、ここまで恋に狂う人ってリアルな生活ではみたことがなく、いかにもフィクションぽいところが笑えました。

 主演のメノーシェのいかにも大監督という偉そうなおっさんが、若い恋人を前にすると中学生のようにおどおど夢中になるという役柄を危機として演じています。それ以上に大女優役のイザベル・アジャ―二が、本当に大女優というのはこうなのよと楽しそうに扮しているのがツボに入りました。歌もグッド。さらに、フレディ・マーキュリーの容姿をほうふつとさせる秘書のカール役のハリル・ガルビアが、セリフはなくて仕草だけなのにものすごくおかしく、このへんのコメディはうまいですね。ピーターの祖母役のハンナ・シグラはオリジナルにも出演していたそう。50年たって別の役柄をするとは、それ自体が映画でよくあるパターンみたい。

 もっとも、ほとんどがピーターの部屋でのセリフ劇。ドイツが舞台なのにフランス語というのもちょっと気にかかりましたが、やはり動きが少ないと集中するのに一苦労。また、愛に迷える人の可笑しさは楽しめましたけれど、50年前のものをリメイクした現代性というのは感じられなかったのが残念です。
posted by 映画好きパパ at 06:32 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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