作品情報 2022年日本映画 監督:二ノ宮隆太郎 出演:光石研、坂井真紀、松重豊 上映時間96分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2023年劇場鑑賞196本
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【ストーリー】
北九州の定時制高校の教頭、末永周平(光石研)は温厚な性格だがちょっと押しつけがましいところがあり、妻の彰子(坂井真紀)や娘の由真(工藤遥)から煙たがられている。定年まで1年とせまったある日、行きつけの定食屋で料金を払うのを忘れて出てしまった。店員で周平の元教え子の平賀南(吉本実憂)が慌てて追いかけるが、そのことをきっかけに自分が認知症を発症し、家族、仕事、友人と向き合うようになる。
【感想】
予告編があざといというか、一大決心した周平が「高校辞めるわ」といっても妻と娘がスルーしたので周平が切れたようにみえます。けれども実際はその間にやりとりがあり、周平のうざさに僕からみても、妻子の方に同情する感じ。このうざさが中年男の特徴だと突きつけられているようでした。
さらに、認知症という言葉も作中では登場せず、クライマックスでは周平より南のほうにスポットライトがあびるという不思議な作品。このクライマックスはなぜこういう構成にしたのか、不思議でなりません。
監督の二ノ宮隆太郎の作品を観るのは「お嬢ちゃん」についで2作目ですが、BGMもなく、エピソードは淡々としているうえ物切りで次のエピソードへ行く、会話に妙に間がある
などの特徴は変わらず。長回しのセリフも多く、主演、脇役と好きな俳優がそろっているのにも係らず、途中、時々意識が飛びそうになりました。
まあ、中年の危機というのは認知症にかかわらず大なり小なりあるわけです。それで自分を見つめなおした結果、少しでも成長がみられればいいのでしょうけれど、周平はそれもなし。まあ、リアルといえばリアルなんですが、全体を通じて周平の日々を俯瞰してみているだけで、それ以上でもそれ以下でもないという気がしました。夫婦もかつて妻の浮気があるなどのエピソードが会話ででてくるのですけど、そういったものも深堀されず物足りなさも。
ベテラン脇役の光石の主演は12年ぶり。生まれ故郷の北九州市が舞台であり、老人ホームにいる末永の父親役には実父の光石禎弘が映画初出演すると至れり尽くせり。また、親友の石田役の松重豊も福岡県出身で実生活でも光石と家族ぐるみでの付き合いがあり、北九州弁での気の置けない親友同士のやりとりは、観ているこちらを和ませます。ついでに言えば吉本も北九州出身であり、ある種のご当地映画です。タイトルの意味は最後までよくわからなかったな。
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