作品情報 2021年アメリカ、イギリス、中国、スウェーデン 映画 監督:ポール・シュレイダー 出演:オスカー・アイザック、タイ・シェリダン、ウィレム・デフォー 上映時間112分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2023年劇場鑑賞204本
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【ストーリー】
ウィリアム・テル(オスカー・アイザック)はカードカウンティングを武器にカジノを渡り歩くギャンブラー。あるカジノで因縁の相手、ゴード少佐(ウィレム・デフォー)を見つけ動揺してしまう。
実はテルはイラク戦争の捕虜虐待の罪を上官のゴードに押し付けられ、10年も刑務所にいたのだ。複雑な思いをかみしめるテルのもとに、カーク(タイ・シェリダン)という若い男が近づく。カークの父もゴードに責任を押し付けられて自殺したというのだ。そして、ゴードを始末しようと提案する。
【感想】
カードカウンティングは、ブラックジャックで場に出たカードをすべて記憶して、次のカードを予測する手法。確率的に高める効果があり、「ラスベガスをぶっつぶせ」という映画になったこともありました。カジノ側は禁止しており、見つかったら退場させられます。ただし、テルが劇中いうように、こっそり少額を目立たないようにする分には、うまくしのぎがでるそう。
前半はカードカウンティングの理論や、テルの腕前に目をつけて利用しようとする黒人女性ギャンブラーのリンダ(ティファニー・ハディッシュ)、「USA!」を連呼しながら相手を破るミスターUSA(アレクサンダー・バララ)ら癖のあるギャンブラーが何人も登場。彼らとのギャンブル勝負がメインになると思ったら途中から方向がずれていきます。
イラク戦争の捕虜虐待事件は世界的に報道されたので記憶があります。下っ端だけが罰せられ、幹部はおとがめなしというのはひどい話です。ただ、カードカウンティングの話と捕虜虐待の部分の接合があまりうまくなく、唐突な気がします。もちろん、テルがつらい過去があったがゆえに、根無し草のギャンブラーになっているという心理的背景はわかるけれど、後半はゴードとの因縁がクローズアップされ、バランスが悪く感じるんですよね。
虐げられた弱者が戦争、権力への怒るというのは「タクシードライバー」以来の伝統。また、過去にとらわれるべきか、未来へ目を向けるべきかというのは深刻なテーマです。それだけにもうちょっとこなれたほうが良かったと思いました。終始しかめっ面のアイザックをはじめ、携帯などをのぞけば70年代の話といわれても納得しそうなクラシカルな雰囲気は良かったのですけどね。
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