作品情報 2023年アメリカ映画アニメ 監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン 声の出演:シャメイク・ムーア、ヘイリー・スタインフェルド、オスカー・アイザック 上映時間140分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2023年劇場鑑賞209本
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【ストーリー】
特殊なクモに噛まれてスパイダーマンへの変身能力を持ったマイルス・モラレス(声・シャメイク・ムーア)。ヒーローは孤独で、正体を知らない父親の警察署長デイヴィス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は町を騒がす犯罪者としてスパイダーマンを捜査している。
唯一の親友であるスパイダーウーマン、グウェン・ステイシー(ヘイリー・スタインフェルド)も別次元にいるために会うことができない。ところがグウェンも同じ悩みを持っていた。そこへ強敵の鳥の怪人ヴァルチャー(ヨーマ・タコンヌ)が現れる。窮地に陥った彼女を救ったのは、各次元のスパイダーマンが集まったスパイダー・ソサエティのメンバーだった。一方、マイルスも時空に穴を明ける強敵のスポット(ジェイソン・シュワルツマン)に襲われる。そこへグウェンらソサエティのメンバーが現れるが…
【感想】
冒頭、グウェンのシーンから全力でCGアニメが飛ばしていきます。こんなアニメ空間は観たことがないという感じ。お約束のこれまでのエピソードを含め、もはや高度な芸術の域です。CGアニメの技術、演出は最後まで素晴らしく、実写やレゴムービーなど多彩な組み合わせもでてきます。
正体を明かせないヒーロー、ヒロインが家族との葛藤に悩むというのはよくあるパターン。ただ、本作はそれを話のコアに据えているところが最も特徴的といえましょう。予告編でもあり、「一人を救うか全世界を救うか選べ」という究極の選択は、実は家族を救えるかそれとも家族がいなくなっても全世界を救うかというところにつながっていきます。恋人を救うかどうするかというのはこれまでも観たことがありますが、家族の絆をここまでクローズアップするのは驚きました。
同時に、アメリカという歴史の浅い国なのに一種の貴種流浪譚というか、血の濃さが何よりも重要という見方には驚きます。「スターウォーズ」も結局壮大な親子の物語でしたし、そういうのが流行なんでしょうか。もちろん、日本のアニメでも「エヴァンゲリオン」のように父親の存在が大きい作品はあるけれど、ここまで家族の物語に執着するのが最近のアメリカのアクションの特徴に思えます。
また、マイルスは黒人。劇中、マイルスの両親が学校の先生と面談するシーンがあり、そこで人種の思い込みについてチクリとしていますけれど、実写版のピーター・パーカーが白人なのに、アニメ版は黒人というのも興味深い。前作では日系人でアニメ美少女のスパイダーマン、ペニーや人間どころか豚のスパイダーマン、スパイダーハムらも大活躍して、人種の壁をぶち破る痛快さがあったのですが、本作はほとんど登場せず、黒人、白人、ラテン系中心の話になってしまったのもちょっと寂しい。
ストーリー自体は小ネタが満載だそうで、スパイダーマンファンにはたまらないでしょう。僕のように知識がなくても楽しめました。しかし、情報量の多さに見終わった後ぐったり。また、驚くようなラストでしたが、まったくの途中で終わってしまうのも消化不良です。ただし、3作目は絶対にみたくなるないようでしたけどね。
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