作品情報 2023年アメリカ、イギリス、スペイン映画 監督:ジュリアス・エイヴァリー 出演:ラッセル・クロウ、ダニエル・ゾヴァット、アレックス・エッソー 上映時間103分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2023年劇場鑑賞245本
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【ストーリー】
1987年、米国人のシングルマザー、ジュリア(アレックス・エッソー)はティーンの娘エイミー(ローレル・マースデン)、弟のヘンリー(ピーター・デソウザ=フェイオニー)とともにスペインの田舎の修道院跡地へ引っ越してきた。ところが、ヘンリーが暴れだし、司祭を呼べと騒ぎ出す。
地元の司祭、トーマス(ダニエル・ゾヴァット)が駆けつけるが、なすすべもない。事態を重く見たヴァチカンは法王(フランコ・ネロ)お気に入りのエクソシスト、アモルト神父(ラッセル・クロウ)を送り込むのだが…
【感想】
アモルト神父は実在のエクソシストで生涯で数万回の悪魔祓いを行ったとされます。本作ではラッセル・クロウ演じるアモルトが傲岸で目的のためには通常の儀礼などを無視しているため、教会の上層部からにらまれている様子が描かれています。これはどこの組織でもありそうなはなしで、有能な実務者が細かい規則にうるさい上司をバカにする形。そもそも教皇庁の幹部なのに悪魔を信じていないひともいるのだから組織というのは複雑です。
実際に悪魔がいるかどうか、アモルトは悪魔祓いの98%は精神疾患など合理的に原因が分かる。ただ2%については合理的な理由がわからず、本当に悪魔がいると話します。実際、精神科医とも連携をとっているというのが現代風。一方、小さなヴェスパバイクにフェラーリのステッカーつけ、巨体がまたがってとことこやってくる姿をみると、精神医学に詳しい専門家という感じは皆無で、巨体でねじふせるとしかみえません。
悪魔は正体がばれたら弱くなるというのも興味深かったですが、それまでは悪魔がとにかく強く、さしものアモルトも苦戦。ヘンリーだけでなく他の家族にも異変がおきていきます。しかし、よくあるパターンだった噛ませ犬のトーマス神父がよく踏ん張り、アモルトと信頼関係を築いていきます。ジャンルは違うけど刑事ドラマのベテラン刑事と新人の関係みたいで、これは面白かった。
一方、どんどんおかしくなる息子を助けようとする母と姉の家族の絆もきちんと描いており、よくできた脚本でした。悪魔祓いの西洋史をしっていれば驚くようなストーリーにもなっていますけど、史実はどうだったのでしょうかね。
また、アモルトもトーマスも過去にトラウマがあります。悪魔は人間の心の隙をついて攻撃するというのがよくわかるシナリオ。狡猾な悪魔の攻撃に立ち向かう2人の姿をとにかく応援したくなりました。それにしてもラッセル・クロウの存在感はさすがで、拳で悪魔をたこ殴りにできそう。本作だけでなくシリーズでみてみたい作品になりました。また、マカロニウェスタンの名優、フランコ・ネロが法王役というのも意外性がありました。
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