作品情報 2023年日本映画 監督:北村美幸 出演:池田朱那、中島歩、青山凱 上映時間96分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ 2023年劇場鑑賞273本
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【ストーリー】
農業高校2年の瑠璃(池田朱那)は毎日畜産の世話に追われる一方、イケメン教師の森(中島歩)に熱烈片思い中。森に呆れられながらもきょうも突撃している。
友人のモモ(片田陽依)から、普通高校に通うマサル(青山凱)を紹介され、マサルは恋に落ちたが、瑠璃は「同年代の男はチンパンジーにしか見えない」と塩対応。そんなある日、バイトの帰りに偶然、森の自宅を発見してしまい…
【感想】
「銀の匙」でもみたような農業高校あるあるは楽しめました。本作は女子高生たちに鶏の解体までやらせているのが好感。僕らは普段、牛や豚、鶏肉を食べてますけど、だれかが殺処分して精肉にしているわけです。そのことを思い出させてくれました。瑠璃がどんなにドン引きするような行動をしても嫌いになれないのは、人間として一番大事な命への感謝をきちんとしているからでしょう。
同時に恋愛映画としてもかなり異色。マサルは瑠璃から徹底的に塩対応されても、ストーカーのごとく付きまといます。一方、瑠璃も美少女だから許されるようなドン引きな迫り方で森を悩ませます。森が癖のあるイケメンなら天下一品の中島歩が演じていることもあり、瑠璃とマサル、瑠璃と森の関係は漫才のように思えてきました。
また、瑠璃の親友グループ、互いに親友という言葉をいいように使うけど、一番仲の良いモモ、頭のいいお嬢さんだけど気弱な彩菜(白石優愛)、能天気だけど森をめぐるライバルのくるみ(大熊杏優)のそれぞれがキャラクターがたっています。女子高生の友情と調子の良さは、いかにもリアルっぽく見えました。
一方で興味深かったのが、シングルマザーの瑠璃の母親が一度も登場しなかったこと。瑠璃は家の貧しさをたびたび愚痴っていますし、父親不在は年上好きになったと連想させるなど彼女の性格がある種歪んだのも母親の存在が大きい。あえて、登場させなかったのはなかなか面白い脚本だと思います。
ちなみに東映ビデオの新人監督プロジェクトの作品なので、北村監督は若い女性監督だと思っていたら、60歳の男性と聞いてびっくり。どうりでこなれているし、ところどころ僕のようなおっさんのツボにはまるところがあったわけです。北村監督はAV畑だそうで、パンチラをはじめ、たまにフェティッシュな撮り方をするのも結構気に入りました。
これも演出でしょうが、池田はずいぶんぶっきらぼうにセリフを読みます。彼女の出演する「釜石ラーメン物語」を見ていなかったら結構違和感を覚えたでしょうけど、「釜石」のほうではすんなり演じていたので、これも演出なんだと興味深かった。とにかく夏は青春映画に限りますね。脇役では唯一顔と名前が一致した中島歩があいかわらず人を食ったような演技で、これもツボにはまりました。
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