作品情報 2021年オーストリア、ルクセンブルグ映画 監督:ステファン・ルツォヴィツキー 出演:ムラタン・ムスル、リヴ・リサ・フリース、マックス・フォン・デル・グローベン 上映時間99分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2023年劇場鑑賞311本
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【ストーリー】
第一次世界大戦でロシアの捕虜となり過酷な生活を強いられたペーター(ムラタン・ムスル)はようやく帰国できた。だが、皇帝は逃亡して街は貧困と混乱のさなか。自宅に戻ったが妻と幼い娘も行方不明だった。
そうしたなか、ペーターと一緒に帰還した元軍人が残虐な方法で殺害される。若手刑事のセヴェリン(マックス・フォン・デル・グローベン)はペーターを容疑者として厳しく尋問するが、実は戦前、ペーターは伝説の名警部だった。女性法医学者のケルナー博士(リヴ・リサ・フリース)とともに捜査にあたるが、元軍人を狙った猟奇事件が次々と発生して…
【感想】
やっとの思いで国へ帰ったら、国自体が消滅。家族も行方知れずだし、ぼろぼろの軍服の帰還兵を市民は汚いものを見る目でバカにする。ヒンターラントとは前線とは逆の後方地帯という意味ですが、命がけで戦った彼らに対して後方地帯の仕打ちは冷たく冷酷なものでした。動機も含めて戦争が産み出した悲劇が戦後も続く重苦しい話です。
ペーターもロシア帰りということでアカだと警察上層部にののしられますし、戦場にいかなかったセヴェリンのような若手のほうが偉そうにしています。日本も敗戦後に価値観が一変したでしょうけど、国そのものがなくなったオーストリアではそれ以上の衝撃だったでしょう。しかも、帰還兵が次々と惨殺されていくのですから。一方、ケルナーが「男性医師はみんな戦場に行ったから自分が医師になれた」と語るシーンがありましたけど、そういったわずかなプラスの変化も帰還兵からすれば驚きなんでしょうね。
本作の特徴はすべてブルーバックで撮られたこと。敗戦後の陰鬱なウィーンの街が映りますが、よくみると後方はすべて絵画です。画面が暗いシーンが多いこともあり、なんか迷宮に迷い込んだような不思議な気持ちにさせられます。連続殺人もさることながら、その裏にある戦争の悲劇を表すにはよくできた手法でした。
一方で、妻子の行方を見つけたけれど怖くて会えないペーターが、ケルナーと捜査しているうちに次第に恋愛感情を持つというのはいかにもありがち。むさくるしいおっさんばかりのミステリーだと客が退屈するのかと思ったかもしれませんが、ちょっとここはいただけませんでした。
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