作品情報 2023年日本映画 監督:加藤拓也 出演:門脇麦、 田村健太郎、染谷将太 上映時間84分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2023年劇場鑑賞315本
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【ストーリー】
専業主婦の綿子(門脇麦)は子どももおらず裕福な生活を送っていたが、夫の文則(田村健太郎)と倦怠期で寝室も別になっていた。さらに、友人の英梨(黒木華)の紹介で知り合った出版社勤務の木村(染谷将太)と不倫をしていた。
木村と泊りがけのキャンプに行った帰り、綿子の目の前で車にはねられてしまう。現場から逃げてしまった綿子に英梨から木村が亡くなったと連絡が入る。葬儀にも参列できずに動揺を押し隠している彼女を文則はいぶかしく思い…。
【感想】
倦怠期の2人の様子をみていると、2人がどんな恋愛をして結婚したのかが非常に不思議です。表立った喧嘩はしないけれど2人とも敬語に近いようなよそよそしさ。夫婦生活がないどころか、会話も要件を伝えることが中心で互いの気持ちを思いやろうという様子は1ミリも見えません。世の中の結構な割合の夫婦はこんな感じなんでしょうか。
一方、不倫相手の木村の前では素の自分をさらけだせる綿子。しかし、木村も結婚しておりこの関係がいつまでも続くとは思っていなかったでしょう。まして、突然の事故で断ち切られるのはショックとしかいいようがありません。綿子が不倫に走る気持ちは分かりますが、木村夫婦の心理描写はほとんどないので木村はなぜ不倫に走ったのか。まあ、門脇麦のような美人に迫られたらぐっとくるのが男のサガなのかもしれませんけど。でも、さっさと離婚して不倫を解消すれば良いのにとおもいながら見ていたら、後半にバタバタバタと夫婦関係や不倫とは何かを考えさせられる展開になりびっくり。
出演者はいずれも芸達者ですが、特に田村健太郎のねちっとしつつも理詰めで相手を追い込む会話術が嫌らしい。いっていることは正論ですが、相手を思いやる気持ちはまるでないです。今、子どもの間で「論破」とか流行っているそうですが、そういう発想で大人になったある種のモンスターともいえそう。彼のしゃべり方、追い詰め方は男の僕から見てもぞわぞわとくるので、まして四六時中顔を突き合わせる綿子からしたらたまらないでしょう。
脚本も手掛ける加藤監督は演劇畑なので、会話劇が非常にリアルかつ巧妙にできていました。さらに、門脇のどちらかといえば陰性の演技がかっちりはまっていた。山梨や箱根?のキャンプ場でのロケもいい感じで、非常に上質な邦画を見たという満足感にひたれました。
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