作品情報 2023年アメリカ映画 監督:ケネス・ブラナー 出演:ケネス・ブラナー、ケリー・ライリー、ミシェル・ヨー 上映時間103分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン 2023年劇場鑑賞326本
【ストーリー】
第2次大戦後、探偵を引退してベネチアで隠棲していたエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)のところに、旧友の女流ミステリー作家アリアドニ・オリヴァ(ティナ・フェイ)が訪れ、町で評判の霊媒師ジョイス・レイノルズ(ミシェル・ヨー)のトリックを見破ってほしいと依頼する。
渋々、ジョイスがオペラ歌手のロウィーナ・ドレイク(ケリー・ライリー)の古い豪邸で行う降霊会に参加する。そこはかつて孤児院で、惨殺された子供たちの幽霊が出るといういわくつきの場所だった。最近もロウィーナの娘アリシア(ローワン・ロビンソン)が謎の死を遂げ、警察は事故死と断定したものの、ロウィーナは真相を知りたいとジョイスに降霊会を依頼したのだ。嵐の夜、屋敷に閉じ込められた一行はさっそく、降霊会に参加、ジョイスのトリックを見破るポアロだが、それだけでは解決できない謎が残る。本当に幽霊がいるのか参加者が疑心暗鬼になる中、連続殺人が起き…
【感想】
閉ざされた山荘のベネチアバージョンといいましょうか。嵐のため運河は氾濫を起こしそうになり、一行はロウィーナの館に閉じ込められてしまう。そこへ不気味な声や謎の少女の姿が。幽霊など信じないポワロだが、霊的な怪奇現象が次々起きる。この本格ミステリーのような状況がたまりません。
序盤はユーモア交じりで、アリアドニがポアロに「世界一頭の良い私がトリックを見破れなかったから世界で2番目に頭のいいポワロに任せる」といって、ポワロがむっとしたり、降霊会に参加しアリシアを看取った医師フェリエ(ジェイミー・ドーナン)の10歳の息子レオポルド(ジュード・ヒル)が丸い眼鏡に生意気な口調が名探偵コナンそっくりだったりと笑えました。
しかし、降霊会がはじまってから雰囲気は一変。ここはオスカーをとって今年一番の貫禄をみせつけたミシェル・ヨーが霊媒師役になっていることも大きいです。彼女がそれっぽい発言をすれば信じてしまうでしょうから。そして、後半のポアロの快刀乱麻の謎解き、隠されていた人間関係が次々にばれていくのもいい。
そしてクライマックス、真犯人との対決でも幽霊が本当にいたのかどうかは観ている人が楽しめる趣向になっています。事件後のエピローグ的エピソードで、レオポルドをはじめ各登場人物にそれぞれ落ちがついているのもいい。1作目の「オリエント急行殺人事件」、2作目の「ナイル殺人事件」は外連味たっぷりでひいてしまうところがあったのですが、本作は古き良きミステリーを堪能できました。
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