2023年09月30日

ドラキュラ/デメテル号最期の航海

 ブラム・ストーカーの古典ホラー小説「吸血鬼ドラキュラ」の一部分をふくらました映画化。ドラキュラの造形があまりにもモンスター寄りで期待値が低かったのがよかったのか、突っ込みながらも面白く観られました。

 作品情報 2023年アメリカ映画 監督:アンドレ・ウーヴレダル 出演:コーリー・ホーキンズ、アシュリン・フランチオージ、リーアム・カニンガム 上映時間119分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ  2023年劇場鑑賞328本



 【ストーリー】
 1897年、ルーマニアからイギリスへ向かう帆船デメテル号は船長のエリオット(リーアム・カニンガム)、黒人医師のクレメンス(コーリー・ホーキンズ)、船長の孫で8歳のトビー(ウッディ・ノーマン)ら9人の乗組員がいた。荷物の中に送り主不明の木箱50箱があり、不穏なムードを醸し出していた。

 航海の最中、乗組員は1人また1人と消えてゆく。クレメンスらは異形の怪物が船に乗っていることに気づく。それこそ吸血鬼ドラキュラだったのだ。

 【感想】
 冒頭、英国の岩礁でデメテル号が難破し、警察官らが駆けつけたところ船は無人で謎の航海日誌がみつかるという原作通りの場面から始まります。ただ、原作ではあっさりと片付いていますが、本作はみっちりとデメテル号で何が起こったかを描いています。ちなみにクレメンスは映画オリジナルのキャラクター。黒人にしたのは多様性のもんだいでしょうか。

 冒頭やタイトルから船にどんな悲劇が起きるか想像がつきますが、まさか船に幼い少年が乗っているというのは想定外でした。乗組員のほか密航者の女性アナ(アシュリン・フランチオージ)も登場し、むさい男だけの航海ではなくなります。それでも、だれがどのように犠牲になるのか、割と乗組員のキャラクターをしっかり描いているので、結構はらはらしながら見ていました。

 怖いというよりも面白いタイプの作品。登場人物はドラキュラの特徴や弱点を知らないのですから、あれこれ抵抗しようとしてもすべて裏目に出てしまいます。ぶっちゃけ昼間に救命ボートで逃げ出せば何とかなったのではと思いますが、それでは映画が終わってしまいますね。ところどころ突っ込みどころはありつつも、最後までわくわくしながら見られました。ウーヴレダル監督は「トロール・ハンター」、「ジェーン・ドウの解剖」などホラー映画の名手ですね。

 いかにも19世紀という街並み、帆船の美術セットなどクラシックホラーらしさ満載なのは魅力的。船乗りが迷信深いことや、キリスト教信仰との関係というのもなかなか興味深い。ただ、ドラキュラの造形があまりにも怪物よりだったのがもったいない。せめて人間態のときは紳士風にすればよかったのに。どうやら3部作らしいですが、このあとどういうふうに作るのか、ドラキュラ対策のエキスパート、ヘルシング教授は登場するのでしょうか。
posted by 映画好きパパ at 19:00 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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