作品情報 2023年日本映画 監督:吉野耕平 出演:大沢たかお、玉木宏、江口洋介 上映時間113分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ新宿 2023年劇場鑑賞341本
【ストーリー】
海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」が米軍の潜水艦と衝突、沈没して艦長の海江田二佐(大沢たかお)はじめ乗組員は全員死亡したと発表した。しかし、かつての海江田の部下で現場近くにいた潜水艦「たつなみ」艦長の深町二佐(玉木宏)は海江田の死を疑う。
深町の予想通り、米軍の最新鋭原潜シーバットを海江田ら自衛隊が運用する日米の極秘計画が進んでいた。しかし、海江田は米軍に音響魚雷を打って逃走。米軍から反逆者として追われる。追手の米潜水艦隊を撃破した海江田は原潜を「独立国家やまと」と高らかに宣言する。日本政府は「たつなみ」に海江田の確保を命じるのだが…
【感想】
大前提として漫画の連載が始まった1980年代後半の日本はバブル経済のまっただなか。経済的にはアメリカをしのぐ勢いだった一方、政治的にはアメリカに押さえつけられた反感が高まっていた頃でした。石原慎太郎の「NOと言える日本」がベストセラーになったのもこのころです。従って、日本が自主武装することで米軍から独立する「沈黙の艦隊」がベストセラーになったといえます。本作はジャパンアズナンバーワンの体現のような作品です。
しかし、現在、日本の国力は落ち込み、中ロ北朝鮮など周辺各国との有事も起こりえるなか、米軍との関係は緊密にするのが当然で、自主武装による日米の離反を日本政府の幹部が勧めるとはありえない。劇中では海原官房長官(江口洋介)の父親で、政財界の黒幕海原大悟(橋爪功)が中心となり、竹上総理(笹野高史)、曽根崎防衛大臣(夏川結衣)らも従っていますが、発想が20世紀のものという感じは否めませんでした。
そういう政治状況は別にすると、自衛隊の全面協力ということもあり、潜水艦の内部状況はリアルに描かれています。また、海戦の様子も邦画にしてはがんばっていて、まあ、米軍がここまで弱いかというのはあるにしても、潜水艦映画として一定の水準に仕上がっています。「ローレライ」(2005年)の海戦シーンとかものすごいちゃちだったのに比べると雲泥の差でしょう。
配役も天才的な軍人の大沢たかおと、彼に疑問をもちつつ人間らしい悩みを抱える玉木宏という配役は完璧。海上自衛隊の白い軍装が良く似合います。ただ、「たつなみ」副長役の水川あさみが潜水艦の食堂の盛り付けを手伝っていた描写ははなはだ疑問で、なんのために原作の男性から女性に変えたのか、将校と兵の間の差がないのかなど突っ込みたくなりました。
【2023年に見た映画の最新記事】
この点については少し僕の見方は違ってて、抑止力としての核という部分においては、ウクライナ戦争真っ最中の今、描く意味はあると思いました。
でも序章しかないんかいっ!ってのは観終わった瞬間叫びたくなりましたね。
今後続編で核や国家の取り扱いがどうなるのか注目したいです。
しかし、32巻の原作のうち4巻までしか消化していないので
単純に考えると8部作になるのですが果たしてどうするのか