作品情報 2022年イギリス映画 監督:リック・ローマン・ウォー 出演:ジェラルド・バトラー、ナヴィド・ネガーバン、アリ・ファザール 上映時間119分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2023年劇場鑑賞373本
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【ストーリー】
CIAの敏腕エージェント、トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)はイランの核兵器施設を破壊するという任務に成功した。だが、アフガンに潜伏中に正体がマスコミにリークされて、世界中に名前がさらされてしまう。急遽、本国のイギリスに逃亡しなければならなくなったが、救出地点は600キロ以上離れたカンダハルで30時間以内にたどりつかなければならなかった。
一方、イラン革命防衛軍のアサディ大佐(バフドール・ファラジ)、アフガンのタリバン政権のアドバイザーを務めるパキスタン諜報部の工作員、ナジール(アリ・ファザール)はそれぞれトムを捕獲しようと追跡を始める。トムはアフガン人の老通訳モハメッド(ナヴィド・ネガーバン)とともに、カンダハルへ向かうのだが…
【感想】
序盤はトムの無双という感じでしたが、アサディ大佐やナジールが単なる悪役ではなくて、アメリカの正義とは違うけれどイラン、パキスタン・アフガンのそれぞれの国策にのっとった深みのある人物に描かれているのが特徴です。トムをとらえるために、イランとパキスタン・アフガンそれぞれも戦ううえ、さらに現地の軍閥などとの衝突もあり、誰がてきで誰が味方かわからないまま、追跡劇が始まります。
トムももちろん主人公補正はあるとはいえ、銃撃戦でバッタバッタと敵を倒すような無双ではなく、あくまでもリアルな感じの強さにとどまっています。罠にかけられることもあれば、自動車が破壊され歩くしかないなど、逃避行は苦難の道のり。さらに、CIAの上層部から切り捨てられそうになったり、モハメッドと仲たがいしたりとさんざんな目に遭います。
特にトムが助けを求めて親友と呼んだ軍閥が、実はモハメッドの家族を殺した悪いやつだったことは秀逸。アメリカが実際に正義の名の下で極悪人と手を組んでいることを風刺しています。各国の正義が交錯するなか、やはり米国の同盟国である日本人の僕としては、最後はアメリカの正義に従うしかないのですかね。
アクションシーンも工夫をこらしており、バトラーとウォー監督は「エンド・オブ・ステイツ」「グリーンランド」とタッグを組んでいるだけあります。終盤のナジールとの決戦はワクワクしました。エンディングでトムだけでなくて、各キャラクターのその後が描かれているのも秀逸。一方的な正義であおるアクションよりも、こういうひねったほうが僕の好みでした。
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