2023年11月09日

キラーズ・オブ・フラワームーン

 スコセッシ監督×ディカプリオ×デ・ニーロの実録犯罪映画。延々と犯罪が繰り返されるのですが、抑制されたタッチで興奮は少な目。とにかく長かったです。

 作品情報 2023年アメリカ映画 監督:マーティン・スコセッシ 出演:レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン 上映時間206分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマみなとみらい  2023年劇場鑑賞383本 



 【ストーリー】
 100年前のアメリカ・オクラホマ。インディアンのオセージ族はやせた居留地に追いやられたが、そこから石油が出たため大金持ちになった。それを狙う有象無象もやってきた。

 第一次大戦から復員したアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、オクラホマの有力者である叔父のウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を頼りにやってきた。ウィリアムのアドバイスもあり、石油採掘権を持つインディアンの一族の女性、モリ―・カイル(リリー・グラッドストーン)と結婚する。だが、表向きインディアンとの交流を深める温厚なヘイルは、裏でインディアンを殺害して財産を奪い取っていた。アーネストもウィリアムのいわれるまま、モリ―の一族を次々と手にかけていく…

 【感想】
 予告編からするとアーネストは善人で、ウィリアムと戦うのかと思っていたのですが、そんなに甘くありません。白人のインディアンへの蔑視は根強いもの。さらに、ウィリアムもアーネストも欲望に忠実なのです。二人とも自分で手を汚さずに、貧しい白人をたきつけて実行犯にさせるというのはえげつない。

 ただ、ウィリアムにとって誤算だったのが、アーネストはモリ―に対しては愛情を抱いていたことでした。そこがワルになり切れない。最近のディカプリオはこういう小悪党がよく似合いますよね。それでも、数十人ものインディアンや、ウィリアムの邪魔になる白人が殺されたのに、捜査すらされないというのはアメリカの田舎の闇深さを感じさせます。19世紀の話かとおもっていたら、第一次世界大戦後の話なんですからね。

 モリ―は賢くて白人のやっている悪事にうすうすと気づいていましたが、女性一人ではどうすることもできません。それでも、モリ―をはじめとするインディアンたちがワシントンに窮状を訴え、FBIが捜査をはじめたことで事態は進展します。けれども実話ベースであり、決してスカッとする話ではありませんけど。

 時代背景があるとはいえ、白人のインディアンへの差別というのはすさまじいもの。カネがあるインディアンに雇われることの屈辱感みたいなのがあったのでしょうか。いまも人種問題に揺れるアメリカの発想のルーツがここにあるよう。カネへの執着もアメリカならでは。デ・ニーロ、ディカプリオといった名優がナチュラルに差別的な言動をするので、よけいに怖さを感じさせられます。

 ただ、犯行シーンもFBIの捜査シーンも淡々と映し出しているだけで、似たような話が長々と続いてまだ話は終わらないのかと思ってしまったのも事実。また、ラストの突然の演出など、何の意味があるのかよくわからないシーンもありました。とはいえ、いかにもアメリカ映画らしいものをみたおなかいっぱい的満足を味わえるのは、さすがこの座組。来年のオスカー争いでも有力ではないでしょうか。
posted by 映画好きパパ at 06:07 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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