作品情報 2023年アメリカ映画 監督:ギャレス・エドワーズ 出演ジョン・デヴィッド・ワシントン、マデリン・ユナ・ヴォイルズ、ジェンマ・チャン 上映時間133分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2023年劇場鑑賞394本
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【ストーリー】
近未来、AIは進化して人間そっくりの模造人間シミュラントの姿をするようになったが、ロサンゼルスで核爆発を起こして危険視される。アメリカなど西側諸国はAIの壊滅を、ニューアジア連合はAIとの共存を訴え戦争状態になった。
米軍の特殊部隊員ジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は身分を隠してニューアジアに潜入。AIの創造者「ニルマ―タ」暗殺のため、ニルマ―タの娘のマヤ(ジェンマ・チャン)と接触するが2人は愛し合うようになる。しかし、米軍の吸収でマヤは死亡。ジョシュアは退役する。5年後、ハウエル大佐(アリソン・ジャネイ)からAIが最終兵器を完成させたので破壊活動に従事してほしい要請される。一度は断ったが、マヤが生きていると知らされ、彼女の解放を条件にジョシュアはAI基地に潜入する。しかし、そこで見つけた最終兵器とは幼いAIの少女(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)だった。
【感想】
オリジナルのSFでAI対人間というありがちなプロットですが、濃密に世界観が構築されておりその格調の高さにしびれます。特にアジア各国のロケが奏功して、ハリウッド映画にしては珍しく米国が悪役、アジアがそれに対抗する善玉よりという立場。日本ロケも行われ、渡辺謙をはじめ日本語のセリフもとびかっています。
エドワーズ監督は日本文化ファンでも知られており、本作も黒澤映画をはじめ「AKIRA」「エヴァンゲリオン」「子連れ狼」などの影響が見受けられます。さらに、「ブレードランナー」や「スターウォーズ」といった名作SFへのオマージュもあり、それを自分の中で再構築してまったく新しい世界観を作り上げました。
冒頭、エヴァンゲリオンを意識しただろう「Fly Me to the Moon」ではじまり、クラシックの月の光で占めるラストまで、数々の既存の名曲と、映画音楽界の巨匠ハンス・ジマーによるBGMは完璧。さらに、ブレードランナー的な日本の大都市と、アジア各地の美しい田園風景のコラボもうまく描かれています。そしてアメリカ軍の最終兵器は巨大な航空要塞であり、スターウォーズのデス・スター的なものの美術もお見事でした。
脚本はオーソドックスなものとはいえ、最初は殺そうと思った子役を、やがて国を裏切ってまで守ろうとするジョシュアの姿には胸が熱くなります。特に終盤のエドワーズ監督らしい感動的な場面へと流れ込むテンポの良さはさすが。ただ、あれっぽちの爆弾では役に立つのかという気もしました。
ジョン・デヴィッド・ワシントンの「TENNET」についで困った顔の演技はおなじみに。子役の演技力の高さはさすがハリウッド映画とうなりました。ジェンマ・チャンの東洋的な美しさも、最初どこの国の人かわからず(香港系イギリス人だそうですが)ミステリアスな感じがよかった。脇役では、くたびれたおばさんのイメージが強いアリソン・ジャネイが狂信的な軍人になりきっていたのがちょっと驚きました。
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