作品情報 2023年日本映画 監督:穐山茉由 出演:深川麻衣、井浦新、松浦りょう 上映時間116分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2023年劇場鑑賞401本
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【ストーリー】
元アイドルの青木安希子(深川麻衣)は一般企業に就職し、SNSでキラキラ生活を自慢していたが、現実とのギャップに疲弊し会社に行けなくなり、貯金もわずか10万円まで減ってしまった。友人のヒカリ(松浦りょう)の紹介で、56歳バツイチのオジサン、通称ササポン(井浦新)の家を間借りすることになる。
仕事を失った上、友人以上の存在の浩介(猪塚健太)との関係もうまくいかず、どん底の安希子。ササポンののんびり、温厚な人柄に自然に癒されていき…
【感想】
何があるわけでもなく、特に信じられない人もいるでしょうが安希子とササポンの間には恋愛関係は皆無です。いい年した大人が一つ屋根の下に暮していて、しかも、片方はおっさんだというのにこういう状況が受け入れられるというのは良い時代になったのだと思います。
もう一つおっさんの僕からすれば、いやらしいことはしないのはできるのだけど、自分の子どもぐらいの年の女性とフラットに接し続けられるのはそれ以上に難しいと思います。親切心があるがゆえに、あれやこれやと口うるさく言っちゃいそうなんですよね。劇中ササポンが「遠い親戚の娘を預かる気持ち」といってましたけど、親戚だったら余計にいろいろいいたいところをササポンは基本は放任で、どうしようもなく困った時も押しつけがましくなく支えてくれる。こういう人間ってうらやましいですよね。
また、元アイドルといえども普通の人間と変わらない悩みがあるというのも、腹落ちできて面白かった。亜希子は地下アイドルではなくて人気グループの一員として紅白にも出た経験があるほど。アイドル界ではかなり上の方に位置します。だから、SNSではキラキラした自分を出していた。けれども、実生活ではカネも男もなく、ようやく見つけた仕事は段ボール箱作りの作業。なまじスポットライトを浴びていた分、今からそうした道へ戻らなければという焦りも強く、結婚を決めた友人(柳ゆり菜)に裏切られた気持ちになったことなど、どこにでもいそうなアラサー女性という感じがしました。
この二人の関係は世知辛い世の中では本当に貴重な関係で、壊れかけた安希子の心がどんどん再生していくのをみるとこちらも癒されてきます。また、浩介の存在も面白く、男性と女性で見方が全然違うでしょう。悪気がないし間違ったことをしていないがゆえにクズ扱いされるというのは同じ男としては可哀そうですが、女性監督ということもあり、このへんの男女差の扱いも面白かった。
深川はやさぐれた感じがよくあっていて、痛いアラサーの行動あるあるにうまくはまっていました。井浦はどちらかというととんがった役が最近多かっただけに、こういう癒される役もよく合うのには新鮮。まあ、おっさんが井浦新みたいなイケオジだから成立したのかという気持ちもありますけど、あまり野暮は言わずにノホホンと楽しむのが一番でしょう。
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