2023年11月25日

ファイナル・セット

 全盛期を過ぎて引退間際のプロテニス選手が、人生最後の大一番に望むというある意味定番的なスポーツ映画。テニスシーンは本当に迫力があり、観ていて小声ですが思わず「よし!」と声が出てしまいました。周りにお客さんがいなくて良かった。

 作品情報 2020年フランス映画 監督:カンタン・レノー 出演:アレックス・ルッツ、アナ・ジラルド、クリスティン・スコット・トーマス 上映時間113分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2023年劇場鑑賞406本



 【ストーリー】
 かつては天才と呼ばれたトーマス(アレックス・ルッツ)だが、20年前の全仏オープンで優勝を逃してからは低迷が続き、37歳の今では満身創痍で引退寸前。妻のエヴァ(アナ・ジラルド)も元プロテニス選手だが、家計は苦しくトーマスに早くまともに就職してもらいたい。かつてはステージママだった母親のジュディス(クリスティン・スコット・トーマス)も、トーマスにはもう見切りをつけている。

 孤立無援で全仏オープンの予選に出場したトーマス。周囲は負けたら引退だと決めつけており、絶対に負けられない大会が始まった。

 【感想】
 ストーリー的な盛り上げはあってなきがごとく。引退間際のプロ選手の苦悩というのはこういうものかと、ドキュメンタリーをみているようでした。エヴァの言い分も無関係な僕からすれば我がままに思えますが、生活がかかっているだけに必死なのでしょう。ジュディスの冷たい言い方も、子どもにかけた夢が早々に消えて、あとは見切りをつけたというシビアさがフランスっぽい。

 トーマスもケガや家族との関係に悩まされイライラします。しかし、地道なトレーニングを繰り返し、試合のシーンでも必殺技のようなものはまったくありません。世界ランキング200位台の選手ですが、何とか相手にくらいついて1戦ずつ勝っていく。これが日本やアメリカのスポコン映画ならば、もっと劇的な必殺技や試合展開があるのでしょうけど、終始淡々とした様子です。

 ところが、予選を突破して本戦に出場が決まると、中年の星のようにマスコミから注目されます。全仏オープンといえどもフランス選手はあまり活躍していないので、余計に地元で騒がれ、そのことが余計にエヴァの心に波風をたてます。

 そうこうしているなか、クライマックスの全仏での1回戦。相手はかつての自分のような若き天才ダミアン(ユルゲン・ブリアン)と対戦。中年の噛ませ犬など歯牙にもかけない若き天才を破ることは、かつての自分を取り戻せるのではとトーマスの必死の考えが、同じように中高年の僕の胸を打ちました。レノー監督は元プロ選手で、ブリアンは現役のプロ選手ということもあり、2人の熱戦は文字通り一瞬も目を離せません。カメラワークの巧みさもあり、現実のテニス中継よりも夢中になりました。ラストシーンも、さすがはフランス映画と唸らせる展開に。スポーツの楽しさを思い出させてくれる佳作でした。 
posted by 映画好きパパ at 18:00 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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