2023年12月06日

マイマザーズアイズ

 ゴシック的な独特の空気感とチェロの多用が美しいサスペンス。近未来的な科学ギミックを使いつつ、親子の愛情というテーマを取り上げていますが、ちょっと分かりにくかった。


 作品情報 2023年日本映画 監督:串田壮史 出演:小野あかね、設楽もね、泉拓磨 上映時間94分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2023年劇場鑑賞421本




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 【ストーリー】
 シングルマザーのチェロ奏者仁美(小野あかね)は、女子高生の娘のエリ(設楽もね)が自分より才能があることに内心苛立っていた。さらに、視力が急に低下しているのも悩みのたね。そんなある日、目の状況の悪化から運転中に事故を起こしてしまい、自分は完全に失明、エリは意識不明のうえ、下半身不随の重体になった。


 仁美はネットで見つけた在野の研究者・鰐淵(内田周作)が極秘に開発中のカメラ内蔵コンタクトとVRゴーグルを組み合わせた装置の治験に参加し、視力は回復する。さらに、ベッドから動けないエリのために自分の観た映像を転送するのだが…


 【感想】
 新しいIT技術がどんどんでている現状で、本作のような特殊なコンタクトは今はないものの、近いうちにできるのかもしれません。さらに、目で見た情報は電気信号として把握できますから、それを転送させるのも近未来の技術としてはありえるかもしれません。ゴシック的な映像で、その技術もなんとなく不穏にみせる見せ方はゾクゾクっときます。チェロの使い方がいろいろな意味で見事でした。


 さらに母子、それと鰐淵と、息子で仁美の世話をする佐敏(泉拓磨)の父子関係の愛憎、不協和音が、心理的ホラーとして覆います。仲の良い親子でも内心、不満や嫉妬を感じることはあるでしょうし、平穏な日常なら抑えることができても、環境が異常になると感情も異常になっていきます。そのへんの展開も見ものでした。


 「極めて刺激の強い殺傷流血・肉体損壊の描写」を理由に映倫はR18+にしているけれど、全体的な陰鬱で物悲しい雰囲気の印象が強くて、残酷描写はほとんど気になりませんでした。最先端の機器のバーチャルな世界と、血が流れる生命の現実を対比させたかったのかもしれません。でも、そんなに残酷な描写があったっけ?と思えるほど。


 ただ、説明的な状況をできるだけ排しているため、分かりにくいところが多々ありました。また、抑制的な演出は、特に何だかわからない前半には眠気を誘う部分もあります。それでも、陰鬱で抑制的なムードは具体的なストーリーよりも、心のどこかにひっかかっており、これまた岸田監督の狙い通りかもしれません。知らない俳優ばかりだったというのも、余計に幻想性をましており、Jホラー第3波との宣伝も納得できました。


posted by 映画好きパパ at 06:12 | Comment(0) | 2023年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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