作品情報 2023年日本映画 監督:戸田彬弘 出演:杉咲花、若葉竜也、中村ゆり 上映時間125分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2023年劇場鑑賞445本
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【ストーリー】
2015年、和歌山に住む長谷川義則(若葉竜也)は3年間同棲していた川辺市子(杉咲花)にプロポーズ。涙を流して喜んだ市子だが、翌日、帰宅したら市子の姿は消えていた。
呆然とする長谷川のまえに後藤刑事(宇野祥平)が現れ、川辺市子という人間は存在しないという。彼女の家族や出身地など何も知らなかった長谷川は、いったい市子はだれなのかを探すため、市子の元同僚の吉田(中田青渚)ら関係者のところを次々と回るのだが…
【感想】
ミステリーとして謎解きというよりも、市子という人間を追う内容になっています。だから長谷川や後藤刑事のシーンと市子の小学校、高校など過去シーンが交互に入っていき、ちょっと落ち着きのないように思えました。ラストも邦画だったらこういう終わり方もありと思いつつも、自分としては好みではありませんでした。
貧困やDVといった現在の社会課題を織り交ぜつつ、市子の半生を負いますけれど、小柄でほぼすっぴん、さえない表情の市子が、魔性の女のようになっている姿をみると、男女の仲は複雑だと思います。また、幼少時の環境が過酷だったら何をしていいのかというのもおかしな話で、そういう意味では淡々と市子の過去をみせつつも、彼女に同情、感情移入しづらいようなつくりになっているのは、舞台から本作を手掛けている戸田監督の手腕と杉咲の演技力といえましょう。ちなみに舞台版の主役の大浦千佳も市子の同級生役で出演しています。
子役時代の貧困シーンは、周囲のほうに問題があるとはいえ、実際に自分が周囲の人間だったら市子に救いの手を差し伸べられたか難しい。昔と比べて近所の力が弱まっているので、余計に幼い市子のような子供をみたら何をするのが正しいのかと考えさせられます。
杉咲の演技力はさんざんほめましたが、若葉の受けの演技もあってのこと。さらに、市子の母親役の中村ゆりがものすごく妖艶でくずれた女になりきっているほか、宇野、中田、渡辺大知、森永悠希、石川瑠華ら、邦画の秀作にかかせない脇の配役も魅力。市子の高校時代の恋人役に倉悠貴が起用されていて、今何本公開されているんだよと突っ込みたくなりましたが、やはり制作側は使いたくなるのでしょうね。
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