作品情報 2021年台湾映画 監督:ギデンズ・コー 出演:クー・チェンドン、ヴィヴィアン・ソン、ワン・ジン 上映時間128分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2023年劇場鑑賞453本
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【ストーリー】
シャオルン(クー・チェンドン)は雷に直撃されて死んでしまい冥界へ行く。だが、雷のせいで生前の記憶を失ってしまった。現世で恋人同士を結びつける運命の赤い糸を結ぶ係「月老」になった彼は、DVで殺された若くて生意気な女性ピンキー(ワン・ジン)と相棒となり、現世に舞い戻る。
だが、若い女性シャオミー(ヴィヴィアン・ソン)の飼っているイヌのアル―と出会ったことでシャオルンの記憶が蘇った。シャオミーとは幼馴染でずっと片思いを続けていた。そして、ある約束をはたしていないことに気づく。一方、そのころ冥界ではグイトウチェン(マー・ジーシアン)が捕らえられていた牢から抜け出し、大騒ぎになっていた。彼は現世に復讐をしに現れて大暴れして…
【感想】
突然ミュージカル仕立てになったり、激しいアクションが起きたり、さらに小学生が喜びそうな下ネタまで混ざってきたりとジャンルを一言で言い表すのは困難な映画。それでいて飼い犬が重要な役割を果たして、エンディングロールではキャスト、スタッフが自分のペットを自慢する画像が流れるというまったく謎の作りです。
転生したくない死者が冥界の職員になって、恋人たちの赤い糸を結びつけるというのは台湾の伝承なんでしょうか。なぜか赤い糸のお相手がオートバイというギャグのようなネタもありましたけれど、シャオミーの赤い糸をどうするのかシャオルンが悩むあたりをはじめ、ほんのり切なくなる場面も多数。それでいてラストの大技にはどぎもを抜かれました。
また、転生も東アジアの思想なのか、完全な善人だったら天国へ、悪人だったら魂ごと消されるけど、どちらでもない大部分は転生を繰り返します。良いことよりも悪いことをしていると、他の動物に転生してしまうこともありで、なぜか人間と猫が一番徳の高い動物になっていたのは笑えた。このまま転生したらゴキブリやカタツムリになってしまうシャオルンとピンキーが、赤い糸を一生懸命結んで善業を積み重ねようという発想には脱帽です。
一方で、グイトウチェンのパートは結構ハードなアクションになっていたりして、なんでテイストの違うストーリーをやっているのかと思いきや、最後に奇想天外な方法で結びついたのには驚きました。個人的にはちょっとこのパートの映像がキモイ部分もあってマイナスなんでしょうけど、東洋的な輪廻転生の思想には合ってるのでしょうね。
BABYMETALの日本語の曲がBGMで使われたり、オタク文化や日本文化にも目配りした感じになっているのも面白い。リーゼントと学ランなんて台湾にもあるのだろうか。主役陣は「あの頃、君を追いかけた」と同じクー・チェンドン、「私の少女時代」のヴィヴィアン・ソンなど日本でもおなじみの青春スターがそろっていて、お気楽に楽しめます。
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