作品情報 2022年日本映画 監督:磯部鉄平 出演:辻凪子、根矢涼香、佐々木詩音 上映時間98分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:アップリンク吉祥寺 2024年劇場鑑賞23本
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【ストーリー】
大阪で契約社員として働く凪(辻凪子)は彼氏に振られて落ち込んでいた。そこへ東京で映像制作の仕事をしている友人のあみ(加藤あみ)が、東京で出会ったという根矢ちゃん(根矢涼香)という若い女性アーティストと大阪に戻ってくる。2人は大阪で根矢ちゃんのMV撮影をしにきたという。
実家の両親と顔を合わせづらいという根矢ちゃんは、凪が借りている部屋に転がり込んでくる。大家で凪の叔母の広美(辰寿広美)に頼まれ、根矢ちゃんと一緒に町内会のゲートボールの試合に出たり、あみから頼まれ、昔好きだった詩音(佐々木詩音)にMVへの出演を依頼したりと、なんともない日々ながら、毎日が充実していたのだが…
【感想】
昨年、観たかったけど機会を逃してしまいあきらめかけていたらアップリンク吉祥寺で開かれている映画祭「MOOSIC LAB」で上演されるので観に行きました。アップリンク渋谷が2021年に閉館になってから3年ぶりの訪問ですが、せっかくだから会員になってきました。
さて、映画のほうは登場人物がすべて当て書き。役名と俳優の名前が一緒です。しかも個人的にも親しい仲の人たちが起用されており、一体感のようなものはリアルと映画双方にまたがってうまくできていました。この、青春時代だからこその友情、恋愛といったごちゃごちゃ感じるがなんともエモい。
凪は大卒後に契約社員をしている普通の女性。今時、親戚の経営するアパートとはいえ銭湯に通っているのを見ての通り、経済的に裕福というわけではありません。ファッションやメイクも飾ってはいない。さらに十三など大阪の下町の日常風景が流れています。舞台挨拶で辻がしゃべっていましたが、大阪を舞台にした映画だと通天閣とかミナミとかそういうものが多く、こういう大阪の下町を等身大で描いた作品はなかなかないそう。昨年、大阪下町のアパート住民を描いた「コーポ・ア・コーポ」がありましたが、その登場人物と違って本作に出てくるのは平々凡々で、日々の生活もささやかな人ばかりです。コロナ禍での撮影上、街を歩く人のマスクをとれなかったので、出演者もマスクを皆つけているのも当時を感じさせて良き。
怪談に盛り上がったり、ゲートボールの特訓をしたり、派遣社員で務めている絨毯会社では上司の屋敷(屋敷紘子)に気に入れられたりなど、ささやかながら忙しい日々が続きます。仕事は真面目にこなす一方、ゲートボールでは天然の言動をするなど凪の魅力がいっぱい。初対面の根矢ちゃんと仲良くなるなど、彼女のコミュニケーションの能力はうらやましいかぎりです。
一方で、詩音との関係はすごい甘酸っぱい。前作を観ていないのですが、それでも男女の間に友情が成立するのか、友情以上恋人未満になるとどうなるのか、いろいろ想像を膨らみました。心が豊かになる秀作。なお、舞台挨拶にたった辻は映画よりもはるかに女優らしい美人で、そのギャップも楽しめました。なお、劇中、映画を観ながら寝るのは気持ちいいというセリフがあり、時折寝ている僕としては励まされたようでうれしかったw
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