作品情報 2022年トルコ、ベルギー映画 監督:ベキル・ビュルビュル 出演:シャム・セリフ・ゼイダン デミル・パルスジャン 上映時間103分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2024年劇場鑑賞29本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
亡くなった妻との約束を果たすために、老人ムサ(デミル・パルスジャン)は孫娘のハリメ(シャム・セリフ・ゼイダン)を連れて、棺桶を引きづりながら故郷を目指す。ハリメは親を亡くして他に頼る親戚もいないため、渋々ムサのあとをついていく。
【感想】
トルコは検閲があるのでぼかしていますが、故郷に戻るためには国境を越えなければならないとか、国境の向こうでは戦闘が起きていることから、ムサとハリメはクルド人なのではと思いました。ムサはトルコ語をあまりしゃべれないというのも傍証です。これがクルド語かどうかはわからないのですけど。
トルコ南東部の荒涼とした荒れ地を棺桶を引きづった老人と、そのあとをとぼとぼついていく少女の姿はシュール。マカロニウェスタンで棺桶を引きづるという話がありますが、本作の場合、中に愛する妻が入っているのです。日本だったら火葬にして骨ツボにしたらそんなに手間はかからないですけど、トルコでは火葬はしないのか、ただただ引きづっていくのはなんとも言えず、異世界の風景のようです。
また、出会う人々も素朴な住民が多いけれど、棺桶を車に積んで運ぼうという人は少ない。僕だって断るでしょう。逆に正規の許可をとらないのかと思ったけど、老人がクルド人だったら政府ににらまれているでしょうし、無理なのか。そのあたりも含めて、もうちょっと詳しく現地の状況を知りたかった。公式サイトにも政治的な話は皆無ですし。
ムサもハリメもセリフはほとんどありません。二人とも表情や行動で魅せてくれます。特に子役のシャム・セリフ・ゼイダンは撮影時9歳ぐらいで、演技初出演とは思えません。また、中東の印象を裏切るような雪が降るシーンもあり、ロードムービーを淡々とつづけつつ、ラストでずしりと来ます。カーネーションはイスラム圏ではポピュラーだそうで、なんとも味のある使い方をしていました。
【2024年に見た映画の最新記事】