作品情報 2023年ウクライナ映画 監督:アルテム・セイタブラエフ 出演:アンドレイ・サミニン マクシム・デヴィゾロフ パヴロ・リー 上映時間118分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2024年劇場鑑賞31本
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【ストーリー】
2014年、ロシアの支援を受けたウクライナ・ドンバス地方の分離独立派とウクライナ政府との緊張はピークに達していた。そんななかでもルハンスク州の国境守備隊の若い兵士マキシム(マクシム・デヴィゾロフ)はパトロールの仕事は手抜きで、地元女性オーリャ(マリア・シュトファ)を口説いて同僚と喧嘩になるなどのんびりとした日常を送っていた。
だが、オシリス(パヴロ・リー)率いるパトロール部隊が、分離派につかまってしまう。守備隊長のアヴジェーエフ大佐(アンドレイ・サミニン)は分離派から寝返るように要求されるが拒否。分離派は守備隊に総攻撃を開始する。
【感想】
ドンバス紛争のころはウクライナへの関心はほとんどなかったのですが、こんな激しい戦闘が行われていたということに驚きました。また、パヴロ・リーは2022年のロシア侵攻後、ウクライナ軍に志願し戦死しています。エンドロールでは彼の大きな写真と、彼をしのぶとの文言が書かれています。
本格的な戦争になる前だからなのか、それでも現在の戦争はそうなのか、緊迫していても兵士たちが携帯で家族や彼女に電話したりできるのはびっくり。大佐自身、町内に妻子がいて時折電話しています。また、このころは同じウクライナ人だったからか、家族が分離派で、守備隊の兵士と離れ離れになるなどのシーンもあって、一体、何を守っているのかちょっと不思議に思いました。
中盤まではマキシムら若い兵士のだらだらしたシーンに、分離派が陰謀を企てるシーンがまじります。オーリャの親も分離派など、本当にどこに分離派がいるか分からない感じ。守備隊にとっては気が休まる暇もないと思いつつ、能天気な若い兵士と苦虫をかみつぶしたような隊長の落差は笑えます。また、マキシムが大金持ちのボンボンで、分離派の侵入者が美人で見とれているすきに後ろから殴られて気絶したり、隊長からさんざんサボっているのを怒られるくせに、パパの力で大量の燃料が守備隊の基地に送られてくるなど、ちょっと普通の戦争映画では考えにくいシーンも。
後半は激しい戦闘シーンが続き、守備隊の基地に大量の分離派が押し寄せるという地上戦。ウクライナ軍の全面協力とあり、小規模の先頭ながら激しく迫力のあるシーンが続きます。もっともプロバガンダ映画っぽく、ウクライナ側は何発当たっても死にませんが、分離派はあっさりと弾が当たったら死んでしまいます。個人的にはモブの分離派女性スナイパーがすごい美人で、主要人物なのかと思った瞬間に退場してしまったのがツボに入りました。戦争に美人もマッチョな男も関係ないですよね。実際にはどうだったのかな。
ウクライナでの戦争は続いています。早く平和になることを祈りつつ、本作の視聴でウクライナの支援につながればと観ていました。
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