作品情報 2020年スイス映画 監督:マーク・ウィルキンズ 出演:マルセロ・デュラン、アドリアーノ・デュラン、マガリ・ソリエル 上映時間98分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2024年劇場鑑賞35本
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【ストーリー】
ペルーから命がけでアメリカに密入国したシングルマザーのラファエラ(マガリ・ソリエル)と双子の息子のティト(マルセロ・デュラン)とポール(アドリアーノ・デュラン)一家。ラファエラはウエイトレス、まだ少年のテイトとポールは英語学校に通いながらデリバリーのバイトをしていた。
不法滞在で白人たちには相手にされず、自分たちを透明人間だと思っていた2人。だが、英語学校でミステリアスなクロアチア美女クリスティン(タラ・サラー)と仲良くなり、世界は一変する。一方、ラファエラも白人の売れない作家エドワルド(ジーモン・ケザー)と親密になるのだが…
【感想】
自由の国アメリカですが、一家には不寛容、差別、貧困といった難問が次々と降りかかってきます。それでも前向きに懸命に生きる彼らを見ると、単に暗い社会派にせず、こういう夢を追う人たちがアメリカの活力を作っているのかと実感します。
白人が不法移民の彼らを見る目は虫けらのよう。自転車で配達中のテイトは車に当て逃げされます。ラファエラは小さい子供が吐いているのを助けようとすると、親から近寄るなと怒鳴られる。一見、親切そうなエドワルドも白人社会では弱者だから、ラファエラ一家を支配しようとしている本性が次第に見えてきます。クリスティンも恋人の弁護費用を稼ぐためには体を売るしかなく、裕福な中高年の客たちから酷い扱いをうけます。
白人以外でも意地悪な人はいます。一家のペルーの親戚は困った彼らを助けようともせず叩きだしました。また、英語学校の東洋系の生徒は、英語ができないということを差し置いても、意地悪な質問をクリスティンにします。それでも、一家3人が寄り添って幸せに向かって懸命にあがく姿には心を打たれ応援したくなります。
ただ、映画とはいえクリスティンのような美人と仲良くなれるだけで、人生勝ち組じゃないのとか思ってしまいました。それはさておき、貧しく虐げられるがゆえに、一家3人の固い絆があることはとんでもなく幸せなこと。原作はオランダの小説で、ヨーロッパ系の制作が入っているがゆえに、人生で金銭よりも大切なものは何か、考えさせられます。デュラン兄弟は実際にも双子で、映画初出演だそうですけど、ティーンならではの元気の良さ、大人への反抗、そして初恋といった様子を等身大に体現していました。
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