作品情報 2023年フランス、リトアニア、ベルギー映画 監督:クリスティーナ・ブオジーテ、ブルーノ・サンペル 出演:ラフィエラ・チャップマン、エディ・マーサン、ロージー・マキューアン 上映時間114分 評価:★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2024年劇場鑑賞42本
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【ストーリー】
近未来、遺伝子組み換えウイルスの流出で動物と農作物は激減し、生き残った人類のうち富裕層は城塞都市のシタデルに閉じこもり食料の種を独占し、それ以外の人間は荒れ果てた地でサバイバルを余儀なくされていた。
13歳の少女ヴェスパー(ラフィエラ・チャップマン)は戦争の傷で寝たきりとなった父、ダリウス(リチャード・ブレイク)を介護しながら、農作物の種ができないか研究している。ある日、シタデルの飛空艇が近所に墜落し、乗っていたカメリア(ロージー・マキューアン)という若い女性を助け出した。だが、ヴェスパ―の叔父で権力者のヨナス(エディ・マーサン)は、飛空艇のことを知り…
【感想】
遺伝子変異で植物なのにウニョウニョ動く奇怪な存在と気持ち悪い形をした虫たち。制作側のデザインがなんとも気持ち悪いし、過酷な生活でとにかく汚くドロドロだし、ちょっとこの世界に入り込めないなと思いつつ観ていました。観客の生理的嫌悪感を誘うクリエイチャーのデザインはうんざり。もっともネットで製作費7〜8億円の低予算とありましたが、それが本当ならば、これだけ奇妙な世界を再構築するのはすごい才能です。
一方で、ダリウスはネタきりなので、思考だけ遠隔で知らせる頭部だけのロボットでヴェスパ―と同行したり、彼女が遺伝子工学の若き天才だったりと、単なる脳筋の似たような話とは違って、先端科学の暴走ゆえの悲惨な未来を描きたかったのはよくわかります。
しかし、ヴェスパ―も口数は少なく、母親に捨てられたというトラウマもあって、見ていていらいら。さらにヨナスなんかは権力をもって何をしたいのかわからない横暴ブリ。ときどき、いかにも伏線というような、例えばヨナスが子供の血を抜き取っているようなシーンがありますが、結局、最後まで回収されないままでした。
荘厳なBGMも最初のうちはよかったのですが、あまりにも多様され続けて途中であきてしまいます。そして、ラストのなんとも言えない、おちなし、やまなしといった感じの収束。ある意味、本作だけで終わったら、普通の人が想像するこの手の映画ではありえない結末なので、狙っているのかもしれませんけど、きちんとした続編を観ないと消化不良感がいなめません。制作者が熱意をもって作っているのはわかるので、将来カルト的な人気になるかも。
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