作品情報 2023年日本映画 監督:古新舜 出演:樋口了一、小島のぞみ、山本華菜乃 上映時間114分 評価:★★★★(五段階) 観賞場所:シネマ・ジャック&ベティ 2024年劇場鑑賞45本
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【ストーリー】
建設会社の地方支店から本社の部長に昇進した馬場功一(樋口了一)だがパーキンソン病になり、仕事中に体が言うことを聞かなくなるなどの症状に悩まされていた。だが、出世を争うライバルの神田部長(塩谷瞬)の手前、弱みを見せずに部下にも厳しくあたるが会社で完全に孤立してしまう。
家庭でも店主関白の功一に妻の恵(小島のぞみ)と中学生の娘・鈴涼(山本 華菜乃)も日頃からうんざり。さらに、ダンスを習いたいという鈴涼に、勉強しろと怒鳴って殴ったため、2人は家を飛び出してしまう。さらに、飲み屋で何気なくついたウソが波紋を広げてしまい…
【感想】
功一の自分勝手な上司ぷり、亭主関白ぶりはオーバーに見えるほどですが、実際にもそういう人はいるのかなと思わせるリアリティをもっています。病気であせるがゆえに、気遣いとかできなくなったということも考えられます。また、神田の嫌味や病気で体が動かない功一にマラソン中の老女が嫌味をいうなど、さすがにオーバーだなと思う演出は前半、続きましたが。
功一はウソをついたために窮地に陥ります。また、イライラした彼は患者の会でも他のメンバー(IZAM、渋谷哲平)らにあたります。しかし、人間困ったときに手を差し伸べてくれる人がいることは本当にありがたい。前半の功一のわがままぶりに僕も辟易としていたのでどん底に陥っても自業自得と冷たく観ていましたが、こういうときに手を差し伸べる人間にならなければと思いました。
何よりパーキンソン病は現代医学では完治しませんが、患者の会は同じ悩みを持って前向きに生きようというメンバーの集まり。他のメンバーとの交流もあり、生きることの意味、大切さ、今までの自分の良くない行動の反省などを考えていきます。このあたりの流れは本当にウェルメイドにできていました。そして終盤はできすぎという部分もありますが、熱意、真心が自分だけでなくて周囲を救うとともに、仕事以外の趣味が身を助けるという展開も納得できます。
もともとこの映画を企画したプロデューサーの松野幹孝も大手証券会社でバリバリ働いている最中にパーキンソン病にかかり、地域活動を通じて知り合った古新監督に提案したのがきっかけ。さらに、樋口も実際の患者ですし、妻役の小島も社労士で映画初出演という座組ですが、しっかりとした作品に仕上がったのがすごい。松野は映画の完成前に亡くなりますが、その思いをスタッフ、キャストがしっかり受け継いだのが良作になったゆえんかもしれません。エンディングロールでこじゃれた映像が流れることもあり、最初から最後まで観られました。
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