2024年02月15日

一月の声に喜びを刻め

 三島有紀子監督が幼いころに性被害にあった自身の体験をもとに描いた3作のオムニバス。非常に重たいテーマですが、静かで美しい映像や音楽でかえって怒りを感じます。ただ、観念的で男性の僕にはわかりにくいところもありました。


 作品情報 2024年日本映画 監督:三島有紀子 出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔 上映時間118分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2024年劇場鑑賞49本




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 【ストーリー】
 北海道・洞爺湖の正月。湖畔で一人暮らしをするマキ(カルーセル麻紀)の下を娘一家(片岡礼子、宇野祥平、長田詩音が集まった。実は男性だったマキは性転換手術を受けている。それについて娘の美砂子は苦々しく思っているが、実はマキが手術を受けたのには理由があり(第1部)


 八丈島で牧場を営む勇(哀川翔)は5年ぶりに帰省した娘の海(松本妃代)が妊娠していることに気づく。だが、妻を亡くした後に海を育てた勇は昔気質で、父娘の会話はなかった。相手はだれなのか、心穏やかでない勇だったが…(第2部)


 大阪・堂島に元恋人の葬儀にやってきたれいこ(前田敦子)。実は彼女は幼いころに性被害を受けており、男性と愛し合うことができなかった。たまたま、レンタル彼氏のセールスでトト・モレッティと名乗る男(坂東龍汰)に声をかけられたれいこは、一線を越えることを決意する(第3部)


 【感想】
 事前知識なしで観たので、第1部と第3部は性被害がテーマになっていることがわかりましたが、第2部は他の2部作とトーンが違うのでちょっとわかりにくい。もっともシリアスで主人公が自分に罰を与えようとする第1部と第3部に比べて、箸休めというか男女の中を肯定するような感じでほっとしましたが。


 第1部は当初、なかなか意味が分かりませんでしたが、終盤になってわかったときにはぞっとしました。第3部もそうなんですけれど、通常、男の方が力があるわけで無理やり性的な加害行為を行うのも男なわけです。まして、小さい子供を毒牙にかけるなど人間として最低の犯罪の一つです。しかし、何ら落ち度のない被害者が心の傷を負ったり、家族が方かいしたりなどさらなる被害を受けることもあります。冬の洞爺湖という鮮烈な自然の厳しさのロケ地で、マキが家族にすらも受け入れられずさまよう姿は、痛切に心が痛くなります。


 第3部はより直接被害を受けた女性が大人になったらどうなるかという話ですが、前田敦子が役柄にあっていないと思いました。役者の実生活と役柄は違うとはいえ、離婚の泥沼が記憶に残ってしまいます。また、モノクロにしたのも自分には効果的ではありませんでした。それでも、彼女の役者としての技量は相変わらず素晴らしく、「なんで私が罪を感じなきゃいけないんだよ。やられたの私じゃん」という言い回しはぐっと来るものがありました。 


 自分が娘を持つ父親だけに、こういう性犯罪は絶対にゆるせません。第2部の八丈島が罪人の島で、罪人を赦すことに触れているのはどういうことなのか。被害者の過去を自分自身が赦すというのはわかりますが、どうも男の僕からすると分かりにくい部分もありました。


posted by 映画好きパパ at 06:01 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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