2024年02月17日

瞳をとじて

 「ミツバチのささやき」で知られるスペインの巨匠、ビクトル・エリセ監督の31年ぶりの新作。上質さは感じられるのだけど言いたいことは今一つ伝わらず。事前の期待のハードルが高すぎたかな。


 作品情報 2023年スペイン映画 監督:ヴィクトル・エリセ 出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント 上映時間169分 評価:★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい  2024年劇場鑑賞52本




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 【ストーリー】
 映画監督のミゲル(マノロ・ソロ)は22年前、若い頃からの親友のフリオ(ホセ・コロナド)を主役とした作品を撮影していた。だが、フリオは撮影中に失踪、その後行方不明になってしまう。映画の撮影は中止され、ミゲルも映画監督から小説家に転身した。


 22年後、テレビの未解決事件のドキュメンタリーでフリオの失踪が取り上げられ、ミゲルがメインゲストとして登場した。その直後、テレビ局に田舎の高齢者施設から、記憶喪失の男が働いているがフリオではないかとの連絡が入る。ミゲルはフリオの娘のアナ(アナ・トレント)と話し、まず自分が施設を訪問して情報の真偽を確かめることになったのだが…。


 【感想】
 映画監督が主人公ということで、昔のフィルム撮影へのノスタルジーや半分田舎で世捨て人をしているミゲルが往年の西部劇の名画「リオ・ブラボー」の弾き語りをするなど、映画愛が詰まった作品となっています。冒頭も22年前の撮影シーンから始まっており、まさに映画をめぐるミステリー。


 ただ、非常に映画監督の私的な話になっており、もちろん、老い、孤独、記憶といったテーマに触れられるものの、この映画ならではの特筆すべき感じは受けませんでした。やはり最近多いベテラン映画監督の映画愛についての一環のようにみられます。エリセ監督はこうした作品が多いことを「映画という文化の黄昏の表現」と見ているそうですけど、僕もおっさんなのでそういう感覚はわからないでもない一方、31年ぶりの作品だったら、もっと人間の深いところを描いてほしかったという気がしてなりません。


 また、ミゲルの田舎での牧歌的生活に時間を割くなど非常にゆったりとした作品であることも特徴。ある意味、巨匠だからこそ許される贅沢な時間の使い方といえましょうか。120分でも撮れる内容にゆとりを持たせたことを受け入れられるかどうか、観客に問うているようです。少なくとも僕は配信でなくて映画館で観られてよかった、配信だったら途中で飽きてたろうなと思いました。


 主役2人はスペインで活躍している俳優ですが、僕自身はあまりみたことがありません。そのかわり、「ミツバチのささやき」の子役だったアナ・トレントが良い年になって同じアナという役名ででていることには驚きました。郷愁をかきたてる配役ですが、あきらかにエリセ監督が狙った感じ。
posted by 映画好きパパ at 06:51 | Comment(0) | 2024年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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