作品情報 2023年韓国映画 監督:キム・ボンハン 出演:パク・ソンウン、オ・デファン、ソ・ジヘ 上映時間110分 評価:★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2024年劇場鑑賞65本
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【ストーリー】
闇ボクシングで対戦相手を殺して8年間、服役していたウチョル(パク・ソンウン)。釈放された彼は足を洗おうとするが、組織のボスで昔馴染みのドシル(オ・デファン)は、引き続き組織で働くよう要請する。釈放の褒美としてコールガールのボム(ソ・ジへ)を与えられたウチョルだが、彼女のDV被害の傷跡をみて、手を出さなかった。
そして、ボムにDVを働く男ジュンゴン(チュ・ソクテ)をぶちのめすが、実は彼は悪徳刑事だった。自分とボムを守るためにドシルを頼ったウチョルは、北朝鮮の麻薬密輸団のリーダー、ガクス(オ・ダルス)と取引する条件を呑む。大量の麻薬が動き、ドシル、ガクス、ジュンゴンはそれぞれ相手を出し抜こうと罠を仕掛けていた。ウチョルもその暗闘に巻き込まれてしまい…
【感想】
悪役が多く、最近出演作が相次ぐパク・ソンウンですが、ここではギャングとはいえ過去の罪の呵責に悩まされ、弱い女性を助けようという昔気質で良心的な役柄になっています。しかし、出所したとはいえ世間の目は冷たいうえ、警察ともトラブルを起こした彼をかばうのは結局、組織しかありません。
一方、ボムにも秘められた過去があり、さすがに映画的に出来すぎている気もしますが、人生のどん底にある人生に一瞬見えた光と絶望がなんとも哀しい。ウチョルとそっと堅気で小さな店でも開けたら良いのにと思うと、どこまでも欲が深くえげつない男たちに振り回されるというのは非情ですね。古い男性優位、女性蔑視がおかしいというのを底流として描いているとも。
また、ドシルもこんな田舎の組織のボスではなくて、ソウルにいって一旗上げようとあがいていたり、ガクスも家族を脱北させるために麻薬の密輸に手をそめたなど、登場人物それぞれが、単なる欲望でなくて、切羽詰まった動機があることも物語の深みを増しています。「飼い犬は決して飼い主を捨てない。捨てるのはいつも飼い主の方だ」など因果応報的なセリフとその結果みたいなのも、古めかしくもありますが骨太の作品だと実感させられます。
登場人物は韓国映画あるあるの悪人の業を背負った良い顔したおっさんが勢ぞろい。スキャンダルでしばらく消えていたオ・ダルスが、いかにもな感じででていたのもうれしかった。ソ・ジへは「愛の不時着」で有名な女優とは別人ですが、いかにもその商売をしていそうな容姿と、どこまでひどい運命なんだよという悲劇的な設定が、この種の映画でもあまりなく、見どころの一つ。
アクションは刃物主体のいかにも痛そうで泥臭いものがメイン。それに、元強豪ボクサーのウチョルの格闘も見応えがあります。陰謀と裏切りの連続する中、最後に笑うのはだれなのか。男も女も業を背負っていることがわかる役作りで、濃厚さに溜息をつきました。この手の作品が好きな人にはおススメです。ラストカットで★一つおまけしちゃいました。
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